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2004.12.01

マルケヴィッチのチャイ4

markevitch.jpg

マルケヴィッチのチャイコフスキーの4番、5番、6番、ロンドン響との演奏がPHILIPSから廉価盤で出ているが、最近これをよく聞いている。特に4番。一言で言うと、自在な演奏(しかし即興的ではなく考え抜かれていてかつ自然)で素晴らしい。

自在な演奏、というのは、頻繁なテンポの変化のことをとりあえず指している。例えば、第1楽章で、優美に歌うワルツ風の旋律と付点付きのリズミックな動きが交錯する部分がある(曲が始まって6分半過ぎくらいの部分など)。ここでは、その優美な部分を思いっきり引き延ばして歌い、リズミックな部分は咳き込むよう、というかつんのめるように弾かせている。「うた」と運動というそれぞれの要素を際だたせ、対比が鮮やかである。
そしてその優美な旋律も、繰り返し登場する際には、同じメロディラインでありながら、全体のコンテクストの中で表情が変わってくる。虚無的な感じすら漂うこともある。

それと、テュッティになったときの、金管を強調した、しかしうるさくはならない、引き締まったというかギリギリ絞ったような立体的な響き、管理された粗野とでも言いたくなるような響きも聞くとやみつきになってしまう。快感なのだ。

例を挙げていくときりがないが、全編これ、音楽の表情付けにあれこれと色々なことをやっていて、「!」の連続なのだが、この演奏の偉大なところは、それがあくまでも自然さを失わないところ。頭でっかちには聞こえない(ワタクシにとっては)。

で、これを恣意的と評するのかどうか、というところである。それが悪い意味の言葉であれば、もちろんワタクシはそうは思わない。

ただ、「恣意的」の代表盤(笑)のように扱われているメンゲルベルクの「悲愴」とかと比べてみたときに、頻繁なテンポの交替、揺れというところから見れば、このマルケヴィッチだってそう遠くはないところにいる、というか、同じ方向にある。で、(悪口としての)恣意的か否かのラインは、それぞれの人の感じ方に過ぎないのではないか。そして、そのラインの判定?要素は、自然に感じられるかどうかということであろう。

この自然に感じられるかどうか、ということが、音楽の演奏では本当に大切なことである。やりすぎ、あざとさをまず感じてしまう演奏、というのがあって、まあ、それはそれで面白がれるのだが、聞き終わって、最初からもう一回、とはならない。じゃあ、薄味で「自然に」演奏するのが良いかというと、そういうことにもならない。委曲をつくして、そして自然に聞こえる、というのが偉大な演奏の一つの形であると思う。

ところで、斉諧生さんのディスコグラフィーによると、マルケヴィッチのチャイコフスキーの4番には、他にも3種類の録音があるようで、そういえば、仏国立放送管盤は持っていたような気がするので、聞いてみよう。

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Comments

こちらからもトラックバックさせて頂きました。
エキセントリック、確かに、尋常ではないですね。でも、それに納得させられる、というのがすごいことだと思います。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2005.04.18 at 12:09 AM

マルケヴィッチの演奏はエキセントリックなものが多いようです。チャイコフスキーなどはいじれるところがたくさんでさぞ楽しかったでしょうね。ところで、私はハイドンをエントリーしました。TBさせていただきます。

Posted by: yurikamome122 | 2005.04.17 at 10:29 PM

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