« パリ、クリスマスに向けて(8) | Main | フィガロのお薦め盤(完結篇) »

2004.12.22

吉田秀和

吉田秀和全集が完結したそうである。

 彼が、斯界の「権威」だった時代は終わり、年寄りの繰り言めいた文章を新聞や雑誌に載せているじーさん、と思っている人も増えているのではないだろうか。一時は、彼の誉めたり注目したりしたレコードがたちまちにして飛ぶように売れたりしたり、彼の発言の一言が何かとてつもなく重みを持って受け止められたりしたこともあった(と思う)。もしかしたら、そんな時代があったと思うこと自体幻想かもしれないが、ワタクシの周りには結構「吉田の勧める演奏は絶対」と思っていた人もいたし、ホロヴィッツ初来日時の「ひびの入った骨董」発言というのは、大きく取り上げられたりした。言葉の使い方もうまいんですね。

 ワタクシは、10代の頃に中公文庫の「主題と変奏」に接して以来、吉田秀和はずっと好きだった。が、何というか、彼の勧める音楽よりは、彼の文章を読むこと自体が好きだった。とても綺麗ですっと分かりやすい。取り上げるものも柔軟で、と言うか、常に好奇心旺盛。音楽の枠にもとらわれない、ということはみんなが知っていること。

 特に、夕刊の連載「音楽展望」は本当に毎週楽しみで、他紙の勧誘員を断る口実に使ったりもした。

 少し気になるのは、この「音楽展望」が休載になっているとのこと(青柳いずみこさんの書評にそうあった)。健康を害されたりしていないと良いのだが。少なくともクライバーの訃報に際して何か書かれているらしいので、病に臥せっていらっしゃると言うことではないように思うが。

|

« パリ、クリスマスに向けて(8) | Main | フィガロのお薦め盤(完結篇) »

文化・芸術」カテゴリの記事

Comments

全集は、一度絶版になっていたのですか。最近は手にはいるようですね。ワタクシは、「音楽批評家の全集」が出るというのはすごいことだなぁ、と思ったことを思い出します。中公文庫で出たものは多分ある時期までは全部買っていったのではないかと思いますが、全集は高くって。。。結局1冊も所持したことがないのでした。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2004.12.23 at 11:45 PM

クラシック音楽を再聴し始めたと同時に「吉田秀和」の名前を知るものの、「吉田秀和全集」が(その当時は)「絶版」であったため、神田古本屋を上京の際にうろうろしたのも、随分前であったなあと、エントリーを読んで思い出しました。
そこでバラで入手した数冊はひどく汚れた本でありましたが、「主題と変奏」の名著には驚きながら接したものです。奥方を亡くされてから体調もすぐれないと聞いておりましたが、最近はどうなんでしょう。「音楽展望」は批判もありましたが、私も朝日の中では出色の連載だったと思います。

Posted by: yukihiro | 2004.12.23 at 01:08 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10092/2342553

Listed below are links to weblogs that reference 吉田秀和:

» 吉田秀和 [中空庭園]
音楽の二十世紀吉田秀和著 (上記はbk1へのリンクなのだが、現在取り扱われていな [Read More]

Tracked on 2004.12.26 at 12:31 AM

« パリ、クリスマスに向けて(8) | Main | フィガロのお薦め盤(完結篇) »