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2005.07.16

石原都知事フランス語問題の続き

6月始めのエントリで取り上げた、「石原都知事がフランス語は数の数えられない言葉だから、それをやっているヤツにろくなものはいない」発言問題ですが、正式に訴えが提出されました。フランス落書き帳さんのところで知りました。

引用されリンクが張られているのは、Exciteニュースに載ったロイターの記事。「世界びっくりニュース」というカテゴリーです。確かにびっくりニュースでしょうねぇ。CNNのサイトにも載っています。

この2つのニュース、フランス語は確かに数の数え方がややこしい、とか、日本語は欧米の言葉と比べて位取りの仕方が違うので混乱しやすい(欧米人にとっては)、と共通の論評(トーンはかなり違うが)をしているなぁ、と思ってよく見たら、CNN/ロイター/APと書いてあったので、一人の共通の特派員(というか現地記者)が書いたのでしょうね。いずれにしても、アングロフォンの方が書いたのでは、と思います。

フランスでは、ヌーヴェル・オブセルヴァトゥール(リンク先は仏語)が、AP電をキャリーする形で事実関係を報道していますが、見出しは日本人が都知事を訴えた、となっていて、あくまで日本人同士の争いと捉えるスタンスのように見えます。その他では、これを報道しているのはカナダのプレスがなぜか多いようです(グーグル・ニュース仏語版での検索)。本家のフランスでは捨て置く、ということなのでしょうか。いずれにしても、AP電に基づく淡々たる記事です。

ユニークなのは、セネガルの新聞ル・ソレイユ(すみません、これもフランス語)。石原都知事を、日本のルペン(フロン・ナショナルという移民排斥などを唱える「極右」政党の党首)と紹介し、「NOと言える日本人」や彼の在日中国人や韓国人に対する発言を示して、その人となりを紹介しています。
その上で、今回の発言を、首都大学「改革」へのフランス語教員の抵抗という文脈でなされたものとした上で紹介し、日本人はフランス語よりも中国語や韓国語に関心が向いており、それは、フランスは単に観光の対象であるのに対して、中国・韓国は良き隣人であり商取引の相手であるから、と二重に皮肉っています。

この後、ワタクシのフランス語力では、文意を取り違えているかもしれないのですが、一応読みとったところでは、ユークリッドの原論はギリシャ語でなく日本語か英語できっと書かれたのだろう、ととぼけてみせ、フランス語が数学に適さないことはないという司法の判断が出れば、それが先例となって、アフリカの諸言語もそう言う中傷を受けなくてすみ、英語や日本語のせいで(アフリカ諸国における)フランス語の地位の低下をもたらすだろう、としています。

まあ、とにかく何にしても、あまりまともに都知事の言動が取り合われていないのがせめて救いといえるでしょうか。

そうそう、駐日フランス大使のブログにも本件に言及した部分があります。これについて、ここ(同ブログの場)で議論すべきではない、というスタンスではありますが。

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Comments

今回の反論会見も、「やらなきゃいいのに」と思う会見でした。以前も「ババァ発言」もあえて言わなきゃいいのにと。
立場を考えろよと思います。
ただ、腰が引けちゃって何にもできない外務省の代わりに沖ノ鳥島への対策を考えてみたり、歌舞伎町の風紀なんて問題にも手を出したり、とやらなきゃならないけど、恨まれやすい事も敢えて手を出しているところは、評価されるべきかなと思っています。
コメントいただきありがとうございます。

Posted by: 8823_nazo | 2005.07.20 12:06 AM

8823 nazoさま
コメントありがとうございました。ワタクシ自身は石原都知事は今までも好きではなかったのですが、今回のことは目に余る、と思いました。
反論会見なんかして、傷口を広げてしまったのではないかと思うのですが。。。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2005.07.19 07:13 PM

石原都知事は、結構良い事も言うし、実際実績もあると思います。
ただ、【お調子者】なのが珠にキズですが。
今回の件も、都立大学再編の波を喰らったフランス語教授の行動に対する意趣返しだったようで、調子に乗ってしまってツッコミポイントを間違えたようです。
都知事にしろ、ロイターの記者にしろ、他国の文化を簡単に否定してちゃダメだと思います。
トラックバックありがとうございます。

Posted by: 8823_nazo | 2005.07.19 10:25 AM

oiさま
コメントありがとうございます。

こんなレベルの人が知事とはねぇ、と確かに嘆息です。しかも、昔のこととはいえ芥川賞作家ですしねぇ。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2005.07.19 03:44 AM

なんというか、細木数子とかの毒舌が売り物の
タレントのレベルですね。

外国から非難されてその腹いせにこんな人を
「知事」として支持する人がそれなりの数
いる、なんてのは自虐ならぬ自滅しちゃうの
じゃないかな?ニッポン

Posted by: oi_ | 2005.07.19 01:30 AM

こちらこそご無沙汰しております。

彼の発言は、「フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格しているのも、むべなるかなという気がする。そういうものにしがみついている手合いが反対のための反対をしている。笑止千万だ。」というものでした。ちなみに「そういうものにしがみついている手合い」というのは、首都大学構想に反対をした都立大学(発言は昨年の10月でした)の教員達を指しています。

まあ、石原発言について書こうと思えば色々な掘り下げが可能であろうと思いますが、ワタクシも、ほどほどにしておこうと思っております。

ただ、記者会見では、尺貫法やヤードポンド法のことを例にとって、フランス語が数が数えられないのは、改革の努力を怠ったフランス政府のせい、として、文句があるのならそちらへ言え、という趣旨の発言をしたようです。

嘆息するしかありません。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2005.07.18 11:33 PM

こんにちは。ご無沙汰しております。この問題自体を知らないのですが、数の数え方の文化を非難したと想像します。以前からのフランスの日本批判に対する報復の心算だったのでしょうか。

馬鹿馬鹿しいのであまり深入りする心算はありませんが、初学者にとっては確かに数を使いこなせたら一寸したフランス語使いのような気がします。

それからするとドイツ語の数え方は、原始的で低級だと言うしかありません。オーストリーのハイダー氏にしろポピュリストの言う事は、議論すら出来ないほど低級ですね。

Posted by: pfaelzerwein | 2005.07.18 01:44 AM

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