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2005.11.17

グリモー/レフレクシオン

reflexionsfr
グリモーの新しいアルバム(DGのサイトはこちら)です。音盤狂日録でも取り上げられていますが、ワタクシの印象は、まずコンセプトの勝利と言いますか。もちろん、人によって反応は様々でしょうが。


DGに移籍してからのグリモーは本当にやりたいことをやらしてもらっているという感じで、というか、実はそれが会社の方の売り出しの方針と合致しているということだけなのかもしれないのですが、それはともかく。


アルバムとしてのコンセプトということをきっちりと考えるこの人の今回のアルバムの仏語タイトルは"Reflexions"。「省察」「意見」「省察録」、つまり「よく考えること、または考えた末に出てきた何物か」という意味の言葉ですが、アルバムの内容を考えると英語の"reflection"にある「反射、影響、反映」という意味合いも含まれているのでしょう。

上に掲げたジャケット写真は、こちらで現在売られているフランスローカル盤です。曲目解説も、グリモー自身のちょっと小難しい、愛とかについての短い文章に続き、オリジナル(英語か独語か不明)の仏訳のみが載っています。

で、

reflexionsこれは、インターナショナルリリースが2006年1月に予定されている盤のジャケット写真です。こちらは、タイトルが"Reflection"と英語になっています。これ、両方の言葉は本当は広がりが違うけれど(少なくとも現代の用法では)、まあ、色々と事情もあったのでしょう。(こんなコトにこだわっていると石原知事に一括されるかも)

さて、日本のHMVサイトでは欧州輸入盤として発売開始されていますが、ジャケットはフランス盤です。中の解説書もフランス語のみのものなのかなぁ。11月23日には日本盤が出るとのことですが、ジャケットはまだ掲載されていません。どうするんだろうか。。。ちょっと興味があります。

選曲と協演者は以下のとおり。

シューマン/ピアノ協奏曲(サロネン/シュターツカペレ・ドレスデン)
クララ・シューマン/3つの歌曲(フォン・オッター)
ブラームス/チェロ・ソナタ第1番(モルク)
ブラームス/2つのラプソディ作品79

こういう形でのアルバムはそうざらではありません。シューマンのピアノ協奏曲の音盤のカップリングと言えば、よくあるのは他のピアノ協奏曲とというもので、定番はグリーグ。調性も同じでよく対比されるからでしょう。また、同じシューマンのピアノ小協奏曲、ウェーバーのピアノ小協奏曲が採用される例もそこそこ見かけました。もう一つの方向は、同じシューマンの作品、特に他の楽器の協奏曲との組み合わせ。といっても殆どの場合がチェロ協奏曲で、ヴァイオリン協奏曲と組み合わせた例は、アーノンクールが仕切ったアルヘリッチとクレーメルの盤くらいしか直ぐには思いつきません。さらにあり得るのは、シューマンのピアノ曲やピアノの入った室内楽との組み合わせといったところでしょうか。

そんな中、この3人の作品を組み合わせる(しかもピアノが中心にありながら、協奏曲、歌曲、室内楽、ソロという色々な形態)のは、プログラミングの才能があるなぁ、と思います。競演者が北欧勢で(オケは別ですが)固めているというのも面白い。まったく唐突ですが、若杉弘みたいです。

演奏は、どれも優れたものです。といって、協奏曲以外は、この演奏の特長があげつらえるほど曲を知りませんが。少なくとも協奏曲は、色々な声部がくっきりと聞こえてくる面白さのような明晰さ(これはサロネンの趣味かも)、ピアニシモになると沈み込んで自分をじっと見るような繊細さ、といってももちろんなよなよと弾いているわけではなく、基本的にはしっかりはっきりしている演奏。
説明するのが難しいですね。シューマンの曲がそもそも○○的という一面的な捉え方が出来ないと思うのですが、それでも割り切って例えば男性的なとか豪快なとか繊細なとか、そういう言い方で演奏を形容することはあるわけですが、この演奏は、千変万化するその多様な要素をそれぞれその方向に強調するというか(すみませんわかりにくくて)。でも、マニエリスティックではなく、自然さを失わない範囲です。

そして、曲を知らないと言いましたが、ブラームスのチェロ・ソナタ、これは素晴らしい。冒頭のモルクの節を聞いただけでどんどん音楽に引き込まれます。これは言っておかないと。

最後に、録音データを見ていて気が付いたことを一つ。ソロ以外の曲は今年の録音なんですが、ソロは2000年6月の録音でしかもテルデックのスタジオです。レコーディング・プロデューサーもこれだけが違います。同じブラームスの作品116~119の録音をしたときにこれも一緒にとったのではないでしょうかね。で、そのうち(例えば協奏曲とかと組み合わせて)出そうかな、となっていて、しかしグリモーがDGに移籍してしまったので、こちらのこの音盤で日の目を見ることになった、と推測します。今手元に上掲盤がなく録音年月日が調べられないのですけれども。

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