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2005.12.12

パウル・バドゥラ=スコダのリサイタル

SKODA1


先日、パリのサル・ガヴォーで開かれたパウル・バドゥラ=スコダのピアノ・リサイタルに行ってきました。シューベルト・プログラムで、作品90の即興曲全4曲、最後の2つのソナタ(イ長調D.959と変ロ長調D.960)でした。

もう80に手が届こうかというお年ですがお元気そのもので、名匠の芸を楽しむことができました。

バドゥラ=スコダといえば、ワタクシなぞは、ウェストミンスターの室内楽シリーズにイェルク・デムスと共にのこした多くの録音を思い浮かべるのですが、どうもそこで認識が止まってしまっています。ナマで聞くのも初めての筈ですが、大レコード会社の看板スターのピアニスト(ブレンデル、ポリーニとか)たちに比べると、その後の録音にも接したことがなく、一線級で活躍しているという印象がどうも薄いのです。もちろん、これはこちらの認識不足というものなのですが。

上に掲げたのがサル・ガヴォーの内部の写真ですが、これでいくと向かって左側の最上階、画面から切れるすれすれのところがワタクシの席でした。そうなると、ピアニストを後ろからまっすぐに見下ろすという感じになります。

SKODA2これは、演奏中のピアニストの運指等に興味のある方にとっては垂涎のポジションなのでしょうが、ワタクシは生憎そっち方面にはあまり関心がなく、かえって指が見えるだけにハラハラするという奇妙なことになってしまいました。というのは、結構ミスタッチは多かったものですから。即興曲の第2曲などの早いフレーズで。でも、音楽を損ねるようなものではなかったですが。

シューベルトのピアノ曲は、アファナシエフとか内田光子とか、彼岸にいるような演奏がワタクシはもっとも好むところでありまして、バドゥラ=スコダはこれに比べるともっともっと日常的というか、健康的なものでした。でも、これがウィーンのシューベルトなのかなぁ、と思ってみたり。それにしてはグルダの即興曲(晩年の録音)はウィーンだけれど彼岸だなぁ。グルダはシューベルトは魔界だから普段封印しているようなことを書いていたかなぁ、とか色々思いながら聞いていました。

う~ん、これだけではどんな感じだったかまったく分からないですねぇ。ま、いいか。

最後に、当日のエピソード(ハプニング)を一つ。

即興曲の1曲目を弾き終えてまだ余韻も残っているとき、いきなり客席から「ベートーヴェンが何とかかんとか」という大きな声が上がったのです。ピアニストは内心はどう思ったか分かりませんが、手を広げて肩をすくめて見せて、それだけで第2曲に入っていきました(ちょっと荒っぽい感じの演奏に聞こえたのはこの出来事と関係があったのかも)。
休憩中に取材したところでは、もともとこの日はベートーヴェンのソナタのプログラムだったらしいのです。曲目変更を知らずに来たお客さんが「ベートーヴェンじゃなかったの」とピアニストに言った、ということのようでした。

で、アンコールの2曲目(1曲目は楽興の時の第2番)を弾く前に「ベートーヴェンが聴きたいということのようですから」とバドゥラ=スコダがやったものですから、客席大喝采。弾かれたのが「なくした小銭への怒り」というのも、ピアニスト自身の気持ちなのか、上記お客さんの気持ちを表したのか、なかなか奥深い選択でした。

ということで、こんな曲を選ぶことからも、ミスタッチは散見するけれども(まだ言うか)、テクニックが怪しいとか枯淡の境地へ踏み入れるとか、そんなことではないことが十分お分かりいただけるのではないかと。

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