クリスマスプレゼントの予算比較だって?!
という記事が毎日新聞のウェブサイトに載っています。
フランスに本社のある保険会社のAXAが11か国で調査をしたところ、日本はクリスマスプレゼントに使うお金がその中で最低で、贈る相手の範囲も一番狭かったのだそうだ。対象の11か国とは、米、英、加、スペイン、伊、豪、仏、独、ベルギー、香港、日本だそう。
これって当たり前じゃありませんか!だって、他の国は全部キリスト教国と言える国ですよ。まあ、そういう宗教的なバックグラウンドはおくとしても、文化的背景がまるで違います。社会の構成員(家族関係も含む)の間の関係も違うし、お年玉やお歳暮やお中元がこれらの国にあるのかどうか知りませんが、クリスマスプレゼントだけ切り取られて調査をされてもねぇ。まるで意味のない比較です。文化の多様性とか何とか言っている国の会社にしては、ちょっとお粗末ではないでしょうか。
日本でもクリスマスは定着して、という指摘もあるかもしれませんが、それは多少の飾り付けをしてケーキ食べるくらいのことではないでしょうか。クリスマス商戦、と世の中では言われるけれども、あれは、ボーナスが出たから年末に何かまとまった物を買おうとかそういう話なのであって、クリスマスプレゼントのためのものではありません。これは、ヨーロッパの国では「セール(ソルド)」に当たるモノではないかと思います。
この調査の意味は、やっぱり国が違うと風習は違うね、当たり前だ。という当たり前の結果が出たことに過ぎないのに、何だかクリスマスというものが、そして、クリスマスプレゼントというものが、何かユニバーサルなものであるかのような前提で、比較、それも数字による比較をして見せて、あたかも比較可能なものであるかのように扱っているという点で、ちょっとたちが悪いのではないかと思います。まあ、保険会社のやりそうなことではありますが。
で、それに乗っかった毎日新聞の記事ですが、もちろん突っ込まれないように、比較して日本人がプレゼントに割くお金が少ない、とか、景気の回復はまだまだ、とかの結論を書いているわけではありません。そこのところは、逃げが利く書きぶりです。
ただ、
世界的な経済の回復を反映して、プレゼントの平均予算は各国とも昨年より増加傾向だが、日本は2年連続最低額だった。これは、ちょっとスムーズではないですねぇ。「増加傾向だが、日本は」ときたら「横ばいないし減少」と身構えるのではないでしょうか、普通。書いたご本人がどこまで意識されているかどうか分かりませんが、これは結果として、日本は経済の回復が遅れているのか、という印象を一読したときに与えます。
また、
「贈る相手」の回答は、欧米各国が(中略)、配偶者やパートナー、子ども、その他の家族、両親、友人、孫、仕事関係者と幅広いのに対し、日本は就労者が子ども、退職者が孫にほぼ決まっていた。その結果、日本は配偶者やパートナーに買う人の割合が他国より少なく、と言いますが、お歳暮っていうものが日本にはあるわけで、それとの関係はどうしてくれるのでしょう。
さらに、
同じアジアでも香港は様子がやや異なり、仕事関係者や友人のため、という人の割合が就労者、退職者ともに高く、いずれも最下位だった日本との違いが目立った。なんて書いてありますが、香港ってアジアですか?いや、もちろん地理的にはアジア大陸のそれもかなり東の方ではありますけれど、このコンテクストで「同じアジア」ってそれはないでしょう。。。
「最下位」という言葉も不用意に使うべきではないと思うんですね。この記事を書かれた方とワタクシの語感が違うのかもしれませんが、よくないイメージがありますよね。あ、そもそも数字による比較って、多い方が良いとか少ない方が良いとか、良い悪いとつながりがちなので、それもこの調査及びそれを利用したこの記事にワタクシがいらだつ理由の一つですね、きっと。
ワタクシの結論としては、比較できないような調査をする方もする方だが(これは異国のしかも保険会社の人がやったことなのでまだ許せるとしても)、それをネタにして、あたかも何かの傾向が読みとれるかのように誤解されてしまう可能性の高い記事を書く(←この部分、新聞記事が多用する言い逃れの利く表現を使ってみました)というのは、如何なものでしょうかねぇ。
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