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2006.01.24

虎と雪

toratoyuki
ロベルト・ベニーニ監督・主演の「虎と雪」という映画を見たのは、昨年末だったのですが、まだ記事にしていませんでした(仏語版公式サイトはこちら)。
ベニーニはあの「ライフイズビューティフル」の監督、と紹介されるのですが、生憎、この作品をワタクシは見ておりませんでした。第2次大戦中に強制収容所に連行されながら子供を絶望させないために親が嘘をつき通す、という話であることだけは知っておりましたが(こんな有名作だからこれくらいはネタバレになりませんよね)。だから「あの」と言われても困ってしまったのですが、まあそれはともかく、このイラク戦争下(といっても米軍がバグダッドを一応制圧した後)を舞台にした「虎と雪」はとても良かったです。
これは、愛の物語(男女の愛だけでなく人間愛まで広がりをもつもののように思われました)であり、言葉の力への信頼の物語であると思いました。

とにかく主人公は沢山しゃべります。単位時間当たりの情報量(という言葉は昔(サウンドストリートの頃)渋谷陽一が好んで使っていましたね)がとても多いです。しかし、それは単にイタリア人だから饒舌だとかおしゃべりだとか、そういうことではありません。

彼がしゃべり続けるのは、現実は自分の言葉によって変えられる、創り出される、ものだと信じているからでしょう。「言葉あれ」という感じです。日本にだって言霊信仰はあるわけですが、その一形態のように思いました。

「ライフイズビューティフル」(この邦題(?)はどうにかなりませんかねぇ)は、「虎と雪」を見た後でビデオ屋に走って見たわけですが、そこでもこの本質は変わっていません。というより、「嘘」だった筈の物語が最後に現実と融合し、そして真実を形作る(その瞬間にひどくワタクシは感動したのですが)。その点でストーリー的には言葉信仰は前作の方がより顕著でした。が、今回の主人公は詩人(大学教授でもありますが)で、子供達になぜ自分は詩人となったかを語るエピソードもあり(それがまた何と美しい伏線になっていることでしょう)、メッセージは減じているわけではないと思います。伏線と言えば、冒頭のサーカスの話が幾重にもその後の場面とつながっている構成感にも感心します。

物語としては善作よりは深刻さがだいぶ後退しており、人によってはギャグのバランスが勝ち過ぎていることに不満を持つかもしれませんが、それは本質ではありません。両方とも舞台は設定に過ぎず、メッセージは人間愛と言葉の勝利への賛歌だからです。

それにしても、さんざん笑わされてしかし気がつくといつも真剣な彼がいて(真剣だからこそ余計笑いが生じるのですが)、それがしみじみした気持ちと一体となり、とても幸福で優しい気持ちになる映画です。この人の新作がかかったら、また見に行かなければなりません。

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Comments

面白かったですよ。本編でも書きましたが、「ライフイズ」ほどは深刻ではなく、笑いの要素が強いですが、基本的に同じ構造だと思います。

大学教授の詩人は、女編集者に一目惚れして、彼女がバグダッドで事故に遭い重体との連絡を受けて困難を乗り越えてバグダッドに自分も行き、そこで彼女を救うために笑いと涙の大活躍をする、という話です。

こちらのラストは、まあ、yacoさんもご覧になることもあるでしょうから、言うのは止めておきますね。もう公開は終わっちゃったのかなぁ。ま、いずれはDVDも出るでしょうからぜひぜひご覧になって下さい。

Posted by: 亭主 | 2006.01.31 at 10:33 AM

見損ねました・・・この映画。
夫に「つまんなそうだ」と足蹴にされたので(悲)
(ウチでは映画は二人で一緒に観ることにしてるので、どちらかが見たくないと言うと、見ないんです。)
あ~でもやっぱり観たくなってきました。
「ライフイズビューティフル」(←ホントになんとか、ね・・・笑)は感動でしたから。(途中ちょっと長く感じますが。)
アウシュビッツの中で、あんなことできないだろうって思って観ててもやっぱりあの話とあの演技は感動しますね。そして、あのラスト。

Posted by: yaco | 2006.01.31 at 02:47 AM

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