« 牛(3) | Main | 牛(4) »

2006.05.09

ノット指揮バンベルク交響楽団

シャトレ座でのジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団の演奏会を聞いてきました。

曲は、バッハ~ウェーベルンの6声のリチェルカーレ、メシアンの「鳥の目覚め」(ピアノ:ピエール=ロラン・エマール)、ブルックナーの交響曲第9番。シャトレ座のエマール・シリーズの一環(といっても2回の内の1回)と位置づけられている割りには、このプログラムはエマール目当ての人よりはブルックナーを聞きに来る人が多いのではと思って(ワタクシもどちらかというとそう)足を運びました。

日も長くなり天気も非常に良いこの日、そんなに多くの客は決して来るまいと思って天井桟敷の券を前日に買った(席は自主的に移動する予定だった)のですが、果たして想像以上のガラガラぶりでした。開演10分前に入場すると、チケットもぎりのお兄さんが、こちらからは何も言わないのに「開演直前になって開いていたら平土間の後ろの方の席へどうぞ」という始末。
しかし、シャトレ座の平土間の後ろの方というのはいわゆる「雨宿り席」で音は良くないのです。そこで一階分上がり、案内のお姉さんに「空いている席はない?」(もちろん目の前には多くの空席がある)と聞くと「う~ん、あと3分待って空いていたらどこでもどうぞ、あ、でも、今座っておいて誰か(そこの席の人が)来たらどいてくれたらそれでも良いけれど」とのことでした。早速、正面やや向かって右よりの3列目を確保。ここなら上の階がかぶってくることもありません。結局、移動することもなくその席で最後まで聴けたのですが、5層構造の上3層にはまったくお客さんの姿は見えませんでした。

さて1曲目。オーケストラがチューニングを終え、拍手に迎えられつつ登場したのは、アレ、、指揮者だけでなくピアニストも。気が付いてみると、既にピアノも協奏曲の位置にセットされているのでした。バッハ~ウェーベルンにはピアノのパートなど無いはずだし、、、もしかすると曲順が変わったとか、、、、でも、それにしては変な曲順だなぁ、、、などとワタクシは訝る中、始まったのは予定通りのリチェルカーレでした。やっぱり、ピアノのパートがあったのかなぁ、そんなはずは、、、、あるいはこれにエマールが乱入する新しい版か試みなのか、、、などとワタクシは興味津々でエマールを見ていました。
ところが、エマール、曲の開始、進行にもまったく関係なく、ピアノの譜面立てに置いた楽譜を凝視して(いるように見えた)、身じろぎ一つしないのです。良い姿勢のまま静止画になったようで。あの集中力は凄いものですが、何をして考えていたんでしょうか。

と、1曲目の最後の音が消えた瞬間、客席に拍手する隙も与えず、エマールは「鳥の目覚め」を弾き始めたのでした。

う~ん、この2曲の間に何かの関連性があるということを言いたかったのでしょうか。ワタクシには残念ながらそれを判断する知識も能力はありません。以下感想のみ。
エマールのピアノは音の鋭さと美しさ(案外真珠のような丸みを帯びた音のように思います)が両立していて、とても良かったです。曲は初めて聴くのですが。鳥の声を模したオーケストラの各ソロ楽器、バンベルクというとドイツの偉大なローカルオケというイメージがあるわけですが、もちろんこのような曲でも危なげがあるわけではありません。が、白髪のお年を召したコンマス氏は、こちらがそう思って見ているせいか、楽々という感じよりはぎくしゃくという感じでしたが。

で、ブルックナーです。よかったです。シャトレの音響のせいか、最初の方、予想より大分軽い響きを意外に思いましたが、聞く内にこちらの耳が修正されてきたのかオケが改善し照ったのか、それは気にならなくなり、弦楽器のしっかりとした土台の上に展開されるブルックナーを味わうことが出来ました。スーパーオケでも巨匠でもないし、超名演かと聞かれればそんなことはないのですが、生ブルックナー、やっぱりいいです。もてなくたってかまはないです。
このオケ、ヨッフムに率いられて80年代に来日した時、主要メンバーに日本人が多かったのですが、その方達は流石にもう在籍していないものの、東洋人の姿もめにつきました。ですが、全体にドイツ(かチェコ?)の人が多いのではないかなぁ。出身者がどうであれ、ドイツドイツした感じは健在です。木管(特にフルートとオーボエ)がソロでありながら、全体の一部であってすぐ回りにとけ込んでいく集団主義(笑)というか。もちろん彼らの音楽が魅力に乏しいとか上手ではないというのとは違うわけですが。もう一つ、チェロのトップのお兄さんは、ブルックナーの音楽をやっているのが楽しくて仕方ない光線出しまくりで、アイコンタクトを頻繁に発信しているのも、本当にほほえましい限りです。いやぁ、いいオケです。

当夜は、指揮者の解釈がどうとか難しいことは抜きにして存分に楽しめました。

余談ですが、拍手について。

曲が終結してから結構長い沈黙があったのですが(余韻に浸っている客と3楽章で終わりということを知らない客が混じっていると見ました。フランスはそういうところです)、指揮者はまだ静止している間に、例の白髪のコンマスが一瞬客席を見たのですね、それで拍手が始まった。指揮者はもっと長い沈黙が欲しかったようで、この拍手にはご不満の様子に見えましたが、もしそうだとしたら、それは逆恨みというもの。コンマスも微動だにしなかったら拍手は始まりませんでした。断言できます。

でも、そんなところも「愛すべき田舎のおじさん」と感じられるほど、このオケは愛着が持てます。
そうそう、弦楽器、前半はチェロが外に来る配置で、後半はヴィオラが外に来る配置でした。こんなところもなかなかですね。

|

« 牛(3) | Main | 牛(4) »

音楽」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10092/9962101

Listed below are links to weblogs that reference ノット指揮バンベルク交響楽団:

« 牛(3) | Main | 牛(4) »