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2006.08.28

フィリップ・ゴーベール(アルファの新譜)

Pgaubert_1

アルファの「真珠採り」のシリーズ、素敵なモーツァルトに続いてリリースされたのは、フィリップ・ゴーベール(1879~1941)のアルバムです。

ゴーベールとは渋い。

しかも、作曲家、フルーティスト、指揮者などと様々な彼の側面に触れることが出来るものです。

まず、収録されているのは彼の作品で「町の門のための碑銘」とアルバムのタイトルにもなっている「海の歌」の2曲です。両方とも交響組曲ということで、まあ、フランス近代20世紀初頭の管弦楽の佳曲、と一言で片づける事も出来てしまいますが、大名曲ではないかもしれませんがチャーミングな作品です。映画音楽みたいだなぁ(というのはもちろん悪口ではありませんが)とも思います。

で、ワタクシはこの曲(2曲とも)を聞くと、なぜだかとても懐かしい気持ちになるのです。最初はオリエンタルでちょっとエキゾチックなメロディのせいかなぁと思っていたのですが、聞き返すうちにはっきりと理由が分かりました。これらの曲は、中学とか高校の頃にすり込まれた吹奏楽の「オリジナル曲」を思い起こさせるのです。

管楽器が活躍するオーケストレーションのせいもあるかもしれませんが、何だかすごく「アノ」雰囲気を持って居るんですよねぇ。それは、曲の構成というか展開というか、それにも似通った感じを受けます。
当てずっぽうですが、結構系譜的につながっているのではないかしら。ゴーベール自身はフルートの大名人だったわけだし。

で、このアルバム、自作に続いては、ゴーベールのフルート演奏が収められています。彼はフルーティストとしての活動は1922年には止めてしまったとのことで、録音年代(19年)のせいかかなり頼りない録音から、私にはこれだけでは演奏をあれこれ言うことは出来ません。柔らかくムラのない音に聞こえますが、録音のせいかもしれませんし。タファネルの生徒でモイーズの先生という歴史の流れに思いを致すと感慨深いものではありますが。

さて、次は指揮者ゴーベール。音楽院演奏協会管を指揮した「魔弾の射手」序曲、「死の舞踏」、「星たちへ」(デュパルク)、「ラ・ヴァルス」が入っているのですが、これはフルートの録音を聞いた後ではかなり音が良く聞こえます。とはいっても戦前(27~31年)の録音ですから、オーケストラがフランスの音をしているところが、とても嬉しくなりました。フランスのオーケストラというと個人主義的な国民性からアンサンブルがなっていない、などという色眼鏡で見られることも多々ありますが、この録音では、非常に整ったアンサンブルで明晰な音楽が聴かれます。フランス近代音楽の殆ど同時代の録音ですから、その面でも貴重なものでしょう。

最後に、パリ・オペラ・フェスティバルについてザルツブルクやウィーンとの比較を交えて語るゴーベールの肉声(1938年録音)が披露されて、このアルバムは終わります。精力的な声で、きっと論客としても活躍したのだろうと想像されるところです。

ということで、ワタクシにとっては、今世紀前半のフランス音楽界の重鎮として名前は良く聞くゴーベールの、実際の演奏などに直接触れ、彼について、更に言えばその時代について、ある程度のイメージを喚起させてくれる、なかなか興味深いCDでありました。

このシリーズ、次はオネゲルの自作自演集だそうです。ダットンやM&Aなどからも彼の自作自演は出ていますが、放送局のライブラリーと言うことからして、それと同じものなのかどうか、興味を惹かれるところです。

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