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2006.08.07

UNE FLUTE INVISIBLE

Flinvisible

アルファからまた素敵なアルバムが出ました。タイトルは「UNE FLUTE INVISIBLE(見えざるフルート)」、副題は「20世紀あけぼののフランス音楽」となっています。

フナックで新譜の所に並んでいるのを見て、タイトルにひかれ、どんな曲が入っているのだろうと裏をひっくり返してちょっと驚きました。

全22曲の曲名が並んでいるのですが、ドビュッシーを中心として、間にカプレ、ルーセル、サン=サーンスなんかが挟まっています。それもドビュッシー、カプレ、ドビュッシー、ドビュッシー、ルーセル、とわざとバラバラに並べているように見えて、う~ん、これは、まるでジル・アパップの「Music for Solo Violin」みたいじゃないか(ジル・アパップのCDについては、山尾さんのところが購買欲をそそります(笑))。

しかも、演奏者としてクレジットされているのは、ソプラノ、テノール、フルーティスト、ピアニスト。俄然興味がそそられて買ってまいりました。

CDをかけつつ中の解説を読んで唸りました。

ライナーノーツでは、ジャケット裏とは異なり、曲目が6つのグループに区切られて書かれています(こういう風に)。アルバム全体は「6つの場面の想像上の室内オペラ」とされており、この6つのグループがそれぞれの場面に当たります。各グループはドビュッシーの「6つの古代エピグラフ」を1曲目に持っていて、その後にフルートのソロやら歌曲やらが配置されているのです。オペラといってもきちっとした筋書きの「ドラマ」があるわけではなく、やや緩やかな流れや全体の雰囲気に従ってふさわしい歌曲(歌詞的にも音楽的にも)と器楽曲を並べているものと思われますが、まだ歌詞をよく読んでいないのでそこの所はどんな仕掛けになっているのやら、まだ判りません。

もう一つの核となっているのはユゴーの1856年に出版された「Viens!」(来たれ!とでも言う意味)という詩で、この曲に触発されて書かれた歌曲が5曲ここには収められています。この短い詩の題材はまさに「見えざるフルート」で、ライナーノーツには、この詩のこと、ユゴーの牧神に関する長詩のこと、ドビュッシーとフルート、6つの古代のエピグラフとビリティスの歌の関連などについて、このCDのフルーティスト(ジル・ドゥ・タルエ)がものした文章が収められています。そっち方面の好きな人は楽しめるかと。
しかし、掲載されているこの文書の英文は仏文オリジナルの訳と書いてありながら随分と省略したり違うことが書いてあったりするのはいかがなものか、と思います。それがこのアルバムのタマにキズとなってしまっているのは惜しまれます。日本盤が出る暁には、ぜひオリジナルからの訳出をお願いしたいものです。

もう一つ、ライナーノーツには、ジャケットに使われているポール=エリー・ランソンというナビ派の画家の「水浴、睡蓮」という画の解説が載っています。これが結構長いのですが、読み進めても画の解説ばかりで、なぜジャケットに使われる画の説明がこんなに長々と、と思い始める頃に、色に歌を歌わせるという言葉とこの絵の色のつながりが音楽的であるというようなことが一瞬書かれ、しかし、話は画のことに戻っていってしまいます。
多分、この文章が掲載されている意味は、この絵と音楽の直接のつながりのことではなくて、絵画という一つの芸術作品の全体としての表現と細部の具体的な描写の関係という点から、このアルバムの全体の表現について考える糸口を与えることのように思います。でも、ちょっとペダンティックすぎるかなぁ。。。

という風に、このアルバム、パッケージを破ってみるまではまったく判らない、色々考えて作られた、そして色々と考えさせる、興味津々の内容なんですが、それを外側からは見えないようにしているのが、趣味が良いといえば趣味が良いし、イヤミといえばちょっとイヤミかもしれません(私は支持派ですが)。

肝腎の演奏も、悪くないです。というか、こういう企画・構成のアルバムで、個々の部分について、誰の演奏と比べてこの部分がなどと言うのはあまり意味が無くって(そもそもこの辺の曲はそんなにはワタクシは知りません)、気持ちよく聴けるかどうか、浸れるかどうか、というところかと思います。で、これは十分良いです。

正直言うと、最初フルートの音がちょっと冴えないかなぁ、と思ったのですが、使用しているのが当時の時代物の楽器だそうで、そのせいかもしれません。

色々書きましたが、別にこんな制作者側の長口舌につきあわなくたって、暑くなる前の夏の朝とか暑さが和らいだ夜にひたすら音だけ聞いているだけで十分気持ちよくなれる、ワタクシとしては掘り出し物の盤でした。

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