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2006.12.01

パーヴォ・ヤルヴィ指揮ウィーンフィル

パリにやってきたウィーンフィルをシャンゼリゼ劇場で聴きました。

良かったです。

指揮はパーヴォ・ヤルヴィ、曲は、モーツァルト「魔笛」序曲、ハイドン交響曲第104番「ロンドン」、シューベルト交響曲第8番大ハ長調でした。

パーヴォは良いよ、凄いよ、と聞いていたんですが、生を聞くのは初めて(ディスクでもちゃんと聞いたことはないかも)でした。確かに噂に違わず素晴らしかった。

シャンゼリゼ劇場、昨夏の工事で音響がかなり改善されたのは事実ですが、それでも、残響少なめの固い音であることには変わりはありません。しかし、その中で、ウィーンフィルは、パーヴォの指揮の下、深い沈潜、甘く柔らかい歌、張りつめるような緊張の弱音、びんびん響かせるフォルテなど、本当に多彩な音、表情を作り出していました。そして、それぞれの方向への振れ方が非常に大きく、表現のレンジが非常に幅広かったです。そして、オーケストラ全体の一体感!そっちに行くときはみんな一緒になってそっちへ行き、こっちへ来るときも同様です。使い古された表現ですが、一つの楽器、一つの声のようでした。

例えば、「魔笛」序曲の主部に入る前のゆっくりとした部分、中低弦の動きの一つ一つを聞いて、こう何というかどこか遠いところへ迷い込んでしまったような感じを受けたのは初めてでした。また、シューベルトの2楽章の有名なゲネラルパウゼの後に紡ぎ出される音楽の、心の奥深いところに触れられているような、そして一瞬たりともそこから耳と気持ちが離れることの出来ないような、得も言われない在りようには深い感銘を受けました。本当に、このシューベルトには、喜び、悲しみ、憧れ、深い絶望、期待、回想、寂しさ、共感と言った人の心持ち、さらには、体の中から沸き上がってくる身体の発動、果ては智慧を思わせるようなものなどなど、すべてがありました。

本当にこのシューベルトは素晴らしかった。全体にテンポは早めなのですが、さくさく行くという感じでは全然なくて、表現はとてもきちんとしていて丁寧で、といっても細部を磨き上げることに汲々としているという印象はまったく受けず、別の言い方をすれば、やるべきことをきちんとやった結果、在るべき姿(といって「完璧」とか「優等生」というラベルが貼られるような類のものではなく)が自然に立ち現れていた、という趣でした。柴田南雄が「適度に荒れ狂い」という表現をアッバードのザルツブルクでのマーラー6番について(もう30年も前の話ですが)書いていましたが、この表現はこういう演奏に当てはまるのかもしれません。本当にこういう演奏にはなかなか接することは出来ません。

「天国的に長い」というシューマンの言葉は、この曲の長さを表すのによく使われますが、「天国的」ということの意味合いを感じたような気もしました。

そして、テンポなどは全然違いますが、すべてのパートに手抜きをしない(させない?)結果、とても音楽が立派でかつ前に進むことについては、まったく意外なことに朝比奈隆を思い出してしまいました。ブルックナーもこの人で聞いてみたいです。

しかし、引っ越し公演とはいえ、この堂々たる「ウィーン」のプログラムを任されるというのは、それだけでもこの人をオーケストラが評価していることが窺われます。

この曲目であれば、モーツァルトで3本のトロンボーンが入りはしますが、古典的な2管編成で打楽器はティンパニのみ(ちなみにシューベルトでは弦は16型、モーツァルトとハイドンでは1プルトずつ減らしていました)。ごまかしのきかないものなのですが、もう一つの興味は、この編成でアンコールに何をやるのか、と言うことでした。打楽器がいないので誰もが期待するシュトラウスのワルツやポルカも出来ないし、、、。ワタクシは、「ロザムンデ」間奏曲かベートーヴェンの「トルコ行進曲」辺りでは、と予想をしていました。
ところがそんな安易な予想を裏切って、盛大な拍手と歓声に応えて演奏されたのは、シベリウスの「死のワルツ」。考えてみればパーヴォの18番であるはずだし、「ワルツ」だし(笑)。ワルツと言ってもシュトラウスだけじゃないんですよ、などと言われているような気さえしました。

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