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2007.03.13

ケフェレックのディマンシュ・マタン

Queffelec

今日のディマンシュ・マタンは、アンヌ・ケフェレックの会でした。プログラムは以下の通り。

J.S.バッハ/協奏曲からアダージョ・ニ短調BWV.974
(マルチェッロのオーボエ協奏曲からの編曲)
D.スカルラッティ/5つのソナタ(K.481,K.531,K.33,K.27,K.96)
ラヴェル/鏡

今回のパリ滞在も3年になりますが、彼女のリサイタルにパリで接するのは初めてです。協奏曲はありましたが。そういえば、10年前に3年居たときにもリサイタルはなかったなぁ。パリ以外で音楽祭などでは良くやっているらしいのですけれどね。

晩年のリヒテルほど極端ではないですが、照明もステージ全体ではなく、ピアノだけを浮き上がらせる感じで、聴衆にも集中を強いるような演出でした。日曜日の朝だというのに(笑)

最初のアダージョとスカルラッティのソナタは全部続けて演奏され、曲間も手が鍵盤の上から下りずに間を取るので、無粋な拍手もなく、とても気持ちよく聞けました。演奏は非常に集中力の高いもので、快活、鮮烈、沈思、独白などといった様子がそれぞれの曲において深く表現されていました。
ケフェレックはスカルラッティのソナタ集を70年代初頭に録音していて、CDでも再発されています。控えめに言ってもピアノによる名盤の一つだと思うのですが、今回の演奏は、その瑞々しい感覚はそのまま、と言ったら嘘になりますが、でも、保持しつつ、表現がそれぞれのベクトルに一層掘り下げられ、そして遊びが加わり余裕を見せるという趣のものでした。
例えば、K.96ですが、狩のファンファーレのよな冒頭の部分、CDではインテンポで始めるところが、今回は最初の3つの音だけをためるような感じで少し引っ張り、その後インテンポに突っ込んでいくという演奏でした。ベートーヴェンの田園交響曲の4楽章の入りで、たまにそういう表現に出会いますが、そんな感じ。そして、同じ繰り返しのようで実はちょっと違う楽節では、その違いを几帳面に弾き分けているのはCDでもステージでも同じです。また、シューベルトの即興曲を思わせるK.531では、印象的なパウゼがより効いていたように思いましたが、これは生ならではなのかもしれません。
で、素晴らしいと思うのは、結構あの手この手のワザを繰り出しているのに、紡ぎ出される音楽が本当に自然な感じでいることです。こういうのはなかなか出来ません。わざとらしくなってしまいがちなんですよね。

ラヴェルの「鏡」は、ケフェレックは2度録音しています。一昨年のミシェル・ガルサンの記念の会でも、その第3曲「洋上の小舟」を弾いていたので、得意な曲の一つなのかもしれません。実はワタクシ、曲をよく知らないのでああだこうだ言えませんが、表現される静けさから激しさまでの振幅が大きなもので、満足しました。

アンコールはショパンの子守歌と、もう1曲、「ヘンデルのプレリュード」と言ったように聞こえたので、ヘンデルの組曲集のCDに入っているどれかかと思ったのですが、当該曲が見つけられません。何だったんだろうかなぁ。
2曲とも静かな落ち着いた曲でした。

ふと思ったんですが、この演奏会、アンコールも含めてシンメトリカルな構成に作られていたのかもしれません。

とにかく、素晴らしい演奏会でした。
(続く)

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