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2007.03.23

ティーレマン/ウィーンフィルのブルックナー8番@シャンゼリゼ劇場

この演奏会は3月17日でした。

ウィーンで本番をしてからツアーに持ってくるのではなく、まずはパリ、アムス、ベルリンと回ってからその後定期演奏会をするという、変則的な日程のシリーズとのことでした。一連の演奏会で本番はこの日が最初と言うことになります。

おそれいりました。まいりました。という演奏でした。素晴らしかったです。

リハーサル(こちらこちらで様子が紹介されています)はムジークフェラインザールでだったようです。シャンゼリゼ劇場のような超デッドなところでのいきなり本番は、いくら天下のウィーンフィルといっても勝手が違ってしまうところはあるのでは、と聞く前には思いもしました。
で、聞いてみて。
もちろん、ウィーンフィルだからといってデッドなホールの音響が変わることはなく、それはそうなんですが、しかし、やはりここは改修の効果か、柔らかく美しい弦の音や存分なトゥッティの音響を堪能できました。もう少し響きが柔らかく残ってくれればもっと良いなぁ、と思うところもありはしましたが。この劇場、昨年だったか一昨年だったかの改修で、音が随分前に(客席の方に)比較的無理なく出てくるようになり、その分、力任せに弾かなくて良くなったのではないかという気がします。

ティーレマンのブルックナーは、少し前、ミュンヘンフィルとのパリ来演で7番を聞きました。聞いた方は分かると思うのですが、すごいものなのです。どうすごいかといいますと、最初から最後まですべての音が統御されていて(和音の響きにせよ、フレーズの流れにせよ)、およそ気を抜けるような所がないのです。それが1時間以上続くわけです。

この少々強引な感じを受けもするいき方に多少反発を覚えたりもして、う~ん、すごいんだけれど、ちょっとやり過ぎではないの?というのが、ミュンヘンフィルの時の正直な感想でした。あ、でも、恣意的に色々と変なことをするとか自分が目立とうとかそういうことでは全然なくて、音楽の形をそこに作るために出来ることを力の限り全部する、ということなんです。そんなこと当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、でも、これをどんどんやると、不思議に不自然で人工的な作り物感が現れてしまうことも有るのですよねぇ、ムズカシイ。

今回も、アプローチは同じでした。でも、オーケストラが違うところや、曲が違うところもあるのでしょう、もう文句なくメロメロにやられてしまいました。

まず、音が美しい。色々な表情が手を代え品を代え現れるのですが、どんなときでも美しい。老哲学者の沈思黙考のような部分でも、宇宙が鳴り響くような咆哮のような部分でも、とにかく美しさが失われることはありません。そして、前述の細かいところまで丹念に作り込むことが、細部をつつくような印象を与える方向に働くのではなく、逆に、結果としてとても巨大なものができあがって、圧倒されました。「神は細部に宿る」というのは、こういう場面で使うのに適当な言葉かどうか分かりませんが、でも、その言葉が頭に浮かびました。

全然根拠はないんですが、ウィーンフィルとやるといくらティーレマンがやっても、最後はウィーンフィルの音楽だというところがあって、それがすごく結果の方向性を変えたのかもしれません。


細かいことをいくつか。

スケルツォの始まって1分ほどの場面で、ティンパニがドーソドソドーソドソドソドソドソドソドソドソドドとか叩く部分、いったん音を小さくしてクレッシェンドさせていました。ちょっとコレはいただけなかった。

アダージョの最初では、トリスタンの3幕を思い出しました。

アダージョを聞いていて、あ、ハース版だと気が付きました。ハース版は潔くないところがあまり好みではないのですが、前述のクレッシェンドといい、ティーレマンはつながり重視指向なのかも、と思いました。しかし、ノーカットでハース版って最近少ないかもしれません。


後期ロマン派、ワーグナー尊敬、戦前ドイツの雰囲気、といったところが彼のブルックナーへのアプローチのキーワードかもとも思いました。

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音楽」カテゴリの記事

Comments

Merci-Beaucoup!!!ガ-タ-さま!
ワタクシ、今週中、クビ長くして、お待ち申しておりました!(笑)k&kでのコメントを、ご拝見してから、興味シンシン。。。まだ、クラシック初心者のワタクシにとって、とても、勉強になりました。これからも、お忙しいでしょうが、心に残られた、コンサートのレポ-トをお書きになられたら、私ども、とても
有り難いです!!素晴らしいレポ-ト、有難うございました。

チナミニ、松田聖子&田原俊彦には、笑ってしまいました!

Posted by: YOKO | 2007.03.24 at 01:00 AM

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