みんなビングの好みのままに
ルドルフ・ビングが、72年にメトの支配人を引退したときのガラ・コンサートのCDです。もう旧聞なのでしょうが、ワタクシはつい最近CDを買ったのでした。
詳細な曲目はこちらを見て頂くとして、メンバーが超絶です。アローヨ、カバリェ、ドミンゴ、ニルソン、プライス、レズニック、タッカー、メリル、ツィリス=ガラ、コレッリ、ボニング、レヴァイン、ベーム、モリナーリ=プラデッリ。やはり22年間メトに君臨した人は違います。それぞれの歌手、指揮者、演目が、ビングの活動の重要なポイントにスポットライトを当てるようなものとなっているのでしょうが、メト史に詳しくないワタクシは、残念ながらそれを十分に語る力はありません。
ただただ、凄いなぁと思いつつLP1枚分の時間があっという間に過ぎ去ってしまいます。中でもニルソンのサロメは圧倒的です。ベームが振るオーケストラも凄いものです。ところで、ベームはオテロの伴奏に回っているのですが、これにも何か曰くがありそうです。
この盤のもう一つの聴き所は、当エントリのタイトルにもした、リザネック歌う「こうもり」のオルロフスキーのクープレの替え歌です。元歌はオルロフスキーが自分の主催するパーティの参加者に「皆さん、それぞれ自分のお好きなようにお楽しみ下さい」という歌なのですが、これを「みんな、ビングの好きなようになっている」としています。当時のビングのことを知らないとことろは想像で補うしかないので、はっきりは分からないのですが、の、批評家や歌手、指揮者との関係でビングのふるった辣腕振りをユーモラスに(しかしまったく毒のない形ではなく)語っています。
どこかに、この替え歌の聴き取りをされた方はいらっしゃいませんかねぇ。私は途中までやったのですが、どうも簡単には全体を文章にすることはできないと思い、断念しました。
これはやはり、「オペラの幕は永遠に上がる」を読みますかねぇ。
« デルピエロ | Main | プロジェクト・フィンランド »
Comments
The comments to this entry are closed.
Wagnerさま
コメントありがとうございました。日本でも当時発売されていたのですね。ご教示ありがとうございました。また、私の拙い聴き取りから受けた印象より辛辣な内容であるとのこと、ご指摘ありがとうございます。私の入手したCDに載っている文章は、ビングの業績については一通り触れているものの、歌詞はおろか当夜の事柄にはノータッチなもので。。。
Posted by: 亭主 | 2015.07.05 11:54 AM
「批評家や歌手、指揮者との関係でビングのふるった辣腕振りをユーモラスに(しかしまったく毒のない形ではなく)語っています」…かどうか?
翌年、日本でも発売されたレコード及び解説・訳詞によると、相当
辛辣な内容です。「ものみなビングの眼識のままに」
ニルソン、コレッリをからかう内容は当時何があったのか、楽屋落ちみたいで我々には理解出来ないですね。オペラ・ハウスはトラブルの「温床」なので裏側では色々あったのでしょうね。
なお、R・ビングの晩年は別の意味で話題になったようです。
また、レコードは第2弾の発売が予告されながら、出なかった。
ユー・チューブで当夜の様子が伺えます。残念ながら白黒ですが。
Posted by: Wagner | 2015.05.18 10:41 PM