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2007.07.27

ペーター・ダムのモーツァルト

Dammmozlp_2
前のエントリで、書いたペーター・ダムですが、ここのところ彼の名盤が国内盤で再リリースされているのを発見しました。キング・レコードのハイパー・リマスタリング・シャルプラッテン・ベストというシリーズの第4期というのに3枚含まれています。フィック、ライヒャといった作曲家の協奏曲、シューマンの室内楽集(ダムの演奏は「アダージョとアレグロ」)、そして、モーツァルトの協奏曲です。
中でもモーツァルトの協奏曲!これ、まだお聞きになっていなければ本当にお勧めです。上掲ジャケットのLPを初めて聞いた30年前から、ワタクシはすっかり虜なのです。

思えば、これが最初に聞いたダムのレコードでした。
なんと言っても、ダムのホルンはそのビロードのような柔らかくて美しい音色にあります。ホルンは狩の時の合図の楽器から発祥したもので、楽曲でもそれを意識した使われ方も決して少なくなく、そうした音色や発音をもって良しとするという評価も多くみられます。そのような観点からは、ダムのあまりにもソフィスティケートされた音や歌は、きっとあまり好まれないことでしょう。しかし、この軽々としたなめらかで美しい音楽は、一度はまってしまうと、ほかのホルンでは満足できなくなってしまうこと、請け合いです。それほど、ダムは言葉の本来の意味においてユニークなホルニストです。
この演奏は、An die Musikでも絶賛されているので、演奏の内容について詳しいことは、そちらをどうぞ。
さて、そこで紹介されているのは、本家徳間音工からのCDですが、ワタクシはまごまごしているうちに入手し損ねました。今は廃盤(というか徳間音工自体がなくなり、流れを汲む徳間ジャパンは今ではクラシックは出していないと思います)ですが、この演奏のCDは、CD/SACDハイブリッド盤(しかもコピーコントロール)で数年前?に国内盤として出ていることを知ったのはこのハイパー・リマスタリング盤を入手した後のこと。
なんてことをくだくだ書くのは、最愛の盤のくせに、ワタクシ、今までLPしか持っていなかったのです、これ。で、LPはもう最低15年はかけていないので、実に久しぶりに聞いたのです、この演奏。

いやぁ、当時がよみがえります。

K.495の1楽章のカデンツァなんか、当時耳コピして譜面に書き取ったりしていたんですが、今でも完全に覚えていました。懐かしい。若い頃に覚えたことは忘れないですなぁ。。。

ところで、LP盤ではダム自身が校訂報告のようなノートをライナーに書いていて、それが曲目解説となっていたのですが、これは今回のCDには再録されませんでした。それについての権利がキングレコードには持ってこなかったのでしょうし、まあ、ライナーノートはシリーズで統一して一新ということもあるでしょう。さらには、33年前に「準備中」だった「新版ホルン協奏曲全集」(楽譜)のための原稿の抜粋なので、現時点での再録には当時ほど大きな意味はないのかもしれません。でも、4番など音楽之友社から出ていた普及版のポケットスコアからみると、ずいぶん大きなカット(というかその部分は後世の挿入ということなのですが)があって、アレアレと驚かされたものでした。
この準備中の楽譜はその後どうなったのか、また近年の演奏では、こういったところの処理はどうなっているのか、興味はつきないのですが、どなたかご存じでしょうか。。ご教示いただければ。。。

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Comments

ひだりさま
コメントありがとうございます。ご本人に直接カデンツァの添削(?)をしてもらったとはすごいですね。また、色々と教えて頂いてありがとうございます。
当方はその後「ペーター・ダム最後の日本公演」というCDを入手しました。2000年の大阪でのモーツァルトの協奏曲が中心になっているものです。
自分がライヴでダムを聴いたのは(少なくともソリストとしては)、80年代までかなぁ。とても懐かしいです。

ガーター様
通りすがりの「ひだり」です。
私も30ウン年前にダム氏のこのLPを聴き、ホルンに対する思いがぶっ飛んだ覚えがあります。
ダム氏からは、書き留めたカデンツァに朱を入れてもらったり、「準備中」の楽譜のことなど伺っておりました。
新版は、当時東ドイツのブライトコップフ社(ライプツィッヒ)よりピアノ伴奏用として出版。確か出版番号が7000番台と記憶しています。カデンツァは上記録音を幾分単純化したものが印刷されていました。日本公演(大阪、東京のいわゆるモーツアルトマラソン)やマリナーとの再録版(フィリップス)とほぼ同じです。
ちなみに、バイエルンのピツカ爺さまの本にもダム氏の古いカデンツァが載っていますよ。

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