ペーター・ダムのシューマン・コンチェルトシュトゥック
Profilからは、ドレスデン・シュターツカペレのライブ録音が次々と発売されています。ブロムシュテットの首席指揮者時代のドイツドイツしたレパートリーを集めたこのCD、2月に発売されていたらしいです。ふとCD屋で手に取ると、シューマンの4つのホルンと大オーケストラのためのコンチェルトシュトゥックが収録されているではありませんか。もちろん、ペーター・ダムが1番ホルンとして参加しています。
迷わずレジへ走りました。
ダム(公式サイトただし英語、独語)は、ワタクシの一番好きなホルン奏者で、37年生まれ。59年(22歳!)にはライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管、69年からはドレスデン・シュターツカペレの首席奏者を務め、2002年の引退まで長く活躍していました。ソリストとしての活動も活発で、80年(?)の来日の折には、まったく同じプログラムのリサイタル、コンチェルト・アーベントに幾晩も通ったものでした。
そのダムが参加するこのシューマンの曲の音盤は、今まで2つありました。
1.ライプツッィヒ時代の61年、コンヴィチュニー指揮の録音。これは、名高い交響曲全集と一緒の機会に録音された模様で、現在カタログに生きているのもその形(交響曲全集へのフィルアップ)です。ついでながら、この交響曲全集、今ではベルリン・クラシックスのレーベルで出ていますが、往時はこの録音、西側(!)ではフィリップス・レーベルでリリースされており、その時代には、「4つのホルン・・・」は出ていなかったように思います。CDになると収録時間との関係で日の目を見たという要素もあるかもしれません。
2.もう1枚は、83年録音で、バックはジークフリート・クルツ指揮ドレスデン・シュターツカペレ。ウェーバー、ロルツィング、サン=サーンスなどと組み合わされた協奏曲集アルバムの1曲です。手持ちの盤は85年に徳間ジャパンからリリースされたもので、解説の紙がLPジャケット裏の大きさのものをやや縮小して4つ折にしてケースに入れてあるのが時代を感じます。
この既出の2つの演奏、いずれもダムの羽毛のような柔らかい音、流麗な歌が楽しめるものです。ただ、同じ方向で「伴奏」が付いている2.(は、それはそれで非常に美しい整った演奏ですが)と比較すると、1.でのコンヴィチュニーのつくるごつごつとした武骨な音楽は、なかなか聞き物です。まさに交響曲全集の延長線上です。中でも、3楽章での遅めのテンポは、結果として独奏者たちにはごまかしがきかないものとなっており、いや、速いテンポだと乱暴に吹き飛ばしているってわけじゃないんですが、まあ、とにかく面白いです。
で、今回の演奏は、81年、ドレスデンのオケということもあり、どちらかというと2.に近いのですが、前に行く推進力、躍動感などがライヴならではで、結構手に汗握ります。ブロムシュテットもきっと乗って演奏しているんだろうなぁ、と目に浮かんでくるようです。実は、ソロには音を外す箇所も散見されますが、この演奏の価値を減じるようなものでは決してありません。お勧めです。
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Comments
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またまた、立ち寄ってしまいました。
ライブCD聴いてみたいものです!
この曲。ホルン吹きなら一度はやってみたいもの。拙者も、遊びでトライしたものです。逆に遊ばれまくり、へくりまくりでとほほでした。ダム氏の再録83年盤のことで質問し、どんな楽器で演奏したのか聞きますと「普通使っているB管」と自慢げに答えておられました。1楽章後半から、小さなマウスピースに換え演奏したとのこと。ハイF管は嫌いとお茶目な笑みが印象的でした。
小さな縁でダムさんと交流がもて、今でも大切な宝になっています。ダムファンのかたにお会い出来で私も嬉しいです。
Posted by: ひだり | 2014.03.08 08:44 PM