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2007.10.27

アレクサンドル・タロー@王子ホール

Taro王子ホールでのアレクサンドル・タローのリサイタルに行ってきました。タローを聴くのは、ほぼ半年ぶり。パリでのタローのすべて以来です。タローの最近の活躍はCDといい演奏会といい本当に目覚ましいものがあるのですが、メジャーレーベルでの国際的で派手なプロモーションが行われているわけではないし、取り上げる曲も渋めのものが多いところ、日本でも彼が聴けるのはとても嬉しいことです。
当日のプログラムはクープランとラモー。お客さんは入っているのだろうかと多少心配に思ったのですが、あにはからんや満席でした。素晴らしい。

前半のクープラン12曲。これらはCDでタローが選曲していた19曲にすべて含まれます。が、この12曲、CDでの順番でいうと、17,4,9,12,1,3,18,11,5,14,7,2と、曲順はまったく違います。ま、構成要素が違うから当たり前といえば当たり前なのですが、それにしてもずいぶん違うもの。演奏効果が一番と思われる"Tic toc choc"を最後にもってきたのには納得です。CDではデュフリの曲を最後に入れている以上そうはできないにしても、やはり演奏会とCDでは狙うものや想定される聴き手の姿勢が違うのかもしれません。なお、遅刻したお客さんは、2曲目と3曲目の間のみに入場を許されたとのこと。もちろん現場でのお客さんの処理の実際上の必要とも絡むでしょうが、ここにももしかしたら選曲、曲順についての考え方のヒントがあるかもしれません。
演奏は、繊細そのもので音色、音量に精緻な変化をこらした、それは素晴らしいものでした。こんなに溌剌とした、敬虔な、粗野な、夢幻的な、そして絶望的な音が出るんだ、とため息の連続です。響きも、もやもやとした霧のようなものから清冽そのものなものまで、また、旋律は時に流麗に歌い、時には意図的に断ち切られ。そして、何と言っても、ピアニシモの静かで深い美しさには、語る言葉を失います。そして、これらの諸様相が瞬時にして変化を見せることもあれば、アハムービーのようにグラデーションしていくこともあって、その移行そのものも聴いていて快感だったりします。
後半のラモーは、ト調の組曲の抜粋とイ調の組曲の全曲。上で書いたタローの美質が遺憾なく発揮されたと思うのですが、ラモーらしく構成感も全面によく現れた演奏でもありました。

で、プログラムの全体を通じて感じたことなのですが、CDでは基本的にはきれいな音に終始していたのが、かなり、激しいタッチで叩きつけるような音も出していたこと。これは、ライブで燃えた(笑)のか、ピアノという楽器の表現の幅を最大限まで使おうという試みなのか、それとも会場のピアノ、響き、私の席(左後方隅)のせいなのか、よく分かりません。そういえば、中音域では若干こもったような詰まったような音も聞こえてきたのですが、あれは、タローの意図なのかそれとも違うのか、ここも少し引っかかりが残りました。

アンコールには、ショパンのワルツ(イ短調の遺作と「小犬」)。これも、クープランについて書いたことが基本的にはそのまま当てはまる演奏で、ショパンだからといっていわゆるショパンらしく、とかそういうことではなかったので、とても面白かったです。フランスの宮廷~サロン音楽の系譜ということでしょうか。
しかし、ショパン好きの人には申し訳ないのですが、ワタクシにとっては、クープラン、ラモーと来て「小犬のワルツ」で一夜を締めくくられてしまうのはどうもちょっと、と思っていたところ、登場したタローは「どうもありがとう。(ここでカンペを取り出す)クープランのドイツの兄弟、バッハのアンダンテを弾きます。」と。

とても満足した一夜でした。

そうそう、最後に2つ。
タローはすべての曲を(アンコールも含め)譜面を見て弾きました。
山尾さんもいらしていたとのことですが、残念ながらお姿を拝見いたしませんでした。

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音楽」カテゴリの記事

Comments

Bruxellesさま

コメントありがとうございました。そちらのエントリーから思いがけずタロー関係の動画を見ることができてうれしかったです。

今後ともよろしくお願いします。

Posted by: 亭主 | 2008.02.17 at 09:26 PM

はじめまして。
随分間の抜けたタイミングですが、この記事にTrackBackさせていただきました。彼の実力がよくわかりました。
Alexandre Tharaudの紹介記事を書きました。
http://blog.goo.ne.jp/correspondances/e/a290744701eb1d56d22de21c2ef17d10
これからもどうぞよろしく。

Posted by: Bruxelles | 2008.02.17 at 01:02 PM

本当に残念でした。もう、10年はお会いしていませんものね、たぶん。
で、タロー、来年はケラスと来るとは耳寄りです。アルペジョーネやるのかなぁ。リサイタルもして欲しいところです。

Posted by: 亭主 | 2007.10.28 at 07:44 AM

わああ、それはお会いできずに残念でした。というか最前列だったもので、誰がいらしているかなど振り返る余裕もなく。もう少し広いホールでやればもっとお客さんが入るのに、という声も聞かれましたが、それだけにぜいたくな時間でした。フランスではいろいろ多彩な曲を弾いているようですね。インタビューをした方の話では非常に実直かつまじめな青年だったようで、この人にしてあの音楽だなあということです。来年はケラスと一緒に来るそうです。

Posted by: at.yamao | 2007.10.27 at 05:05 PM

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