ブロムシュテット/N響
1月のN響はブロムシュテットの来演でした。当日券でモーツァルトの「プラハ」とブルックナーの4番の日に行き、その1回のつもりだったのですが、友人のピンチヒッターで「さすらう若人の歌」とシューベルトの大ハ長調交響曲も聞くことが出来ました。
4年ぶり?に聞くN響は、ずいぶんメンバーの若返りが進んだなぁ、という印象でした。ブロムシュテットはもう80歳を超えたのにこちらは相変わらず元気だなぁ、という感じ。演奏は、感心したところ、良かったところも多々ありましたが、感服にはほど遠かったというのが正直なところです。
今回の演奏で、一番印象に残ったのは「とにかく繰り返した」こと。「プラハ」はたぶんリピート記号は全部忠実に守ったのではないでしょうか。そうすると1楽章と4楽章はほとんど全曲を2回演奏するような感じになってしまうのですよね。また、シューベルトの4楽章の提示部の反復って初めて聞いたような気がします。
で、繰り返すと音楽が変わるんです。これは面白かった。と言っても、2回目はアプローチとか変えてくるのでも装飾音をたくさん付けるとかそんなことではなく、何というか、熟成するっていうか、かもされてくるっていうか。
古典派の交響曲の繰り返しについては、「その頃は演奏会でその曲に初めて接する場合がほとんどだから、音楽を耳に残すために繰り返しをしたけれども、今ではそんなことはないので、繰り返しは不要である」なんて論を聞いたものです。でも、それ違うなと今回の演奏を聴いて思いました。
ブロムシュテットは、特にこのモーツァルトでは音に語らせるような演奏をしました。音が語り出す、音が音楽となっていくのをじっくりと待つと言うのがより適切かもしれません。「プラハ」交響曲の第1楽章前半、普通に繰り返しているだけなんだけれど、2回目の方がより音楽があったんです。人間が演奏しているんだから、繰り返したときに完全に同じ演奏ができる方がむしろ変だし、何よりも聞く方だって「違うワタクシ」になっているのですから、変わるのは当たり前と言えば当たり前。ただ、そこを音楽がなり出すのを待っている、というのがなかなかできないことではないか、という気もしました。
2つめは、近年のブロムシュテットのブルックナーの緩叙楽章は本当に聞き物だということ。ゲヴァントハウスとの7,8番のCDでも、それは格別です。当夜の第2楽章も、本当にしみじみとした心に染みる音楽でした。
3つめは、シューベルトのテンポの速さ。の序奏から速い速い。それとも最近はあんな感じがスタンダードなのでしょうか。2楽章も4楽章もちょっと速すぎて、ワタクシとしてはあまり楽しめるものではありませんでした。
N響は、弦がややささくれ立っているような印象を受けたのと、モーツァルトで管と弦のテンポ感にかなり差があるのに引っかかりました。また、金管の鳴りっぷり(特にブルックナー)は目を瞠るものでしたが、それをがっしり弦が受け止めていたかというと、ちょっと疑問です。まあ、NHKホールの1階前方サイドという条件のあまり良くない席でしたから速断は禁物ですが。
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» on the air:ブロムシュテット/N響の《プラハ》&《ロマンティック》 [庭は夏の日ざかり]
【2008年1月12日(土)18:00~ NHKホール】
<第1610回定期公演 Aプログラム>
●モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K.504 《プラハ》
●ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 《ロマンティック》
⇒ヘルベルト・ブロムシュテット/NHK交響楽団
N響名誉指揮者陣の中で唯一現役のブロムシュテット。N響1月はブ氏月間。
同年代のスクロヴァチェフスキのことは(あの老獪な音楽へ親愛の情を込めて)スクロヴァ爺さんと書けるけど、ブロムシュテットのことは、なぜか爺さんとは呼べな... [Read More]
Tracked on 2008.01.30 at 10:56 PM
» ブロムシュテット/N響の《グレート》@名古屋 [庭は夏の日ざかり]
【2008年1月26日(土)18:45~ 愛知県芸術劇場】
●マーラー:《さすらう若者の歌》
→クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)
●シューベルト:交響曲第8番ハ長調 D.944
⇒ヘルベルト・ブロムシュテット/NHK交響楽団
あれが80歳を迎えた指揮者の音楽でしょうか。
まったく若者のようでした。
2週間前、FMで《プラハ》と《ロマンティック》を聴いて、僕はブロムシュテットの音楽を「ふわふわの卵焼き」であり、縦方向へのこだわりほどには横方向を顧みないと、そういった内容のこと... [Read More]
Tracked on 2008.01.30 at 10:59 PM
» ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団 名古屋公演 [メニューはクラシックCDア・ラ・カルト]
NHK交響楽団定期演奏会(愛知県芸術劇場シリーズ)
マーラー:さすらう若者の歌
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D.944
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
バリトン:クリスティアン・ゲルハーヘル
管弦楽:NHK交響楽団
ナマでN響を聴くのは私が東....... [Read More]
Tracked on 2008.01.30 at 11:52 PM


Comments
TBありがとうございました!
亭主さんの持たれたご感想とはちょっと遠いものを当方では感じ取っていましたが、繰り返しによって音が音楽に変わるというところ、我が意を得たりという感じです。自分の乏しい経験から考えても、繰り返しの2回目はどうしても不自然な表情をつけてしまい勝ちなのだと思いますが、そんなことをせずとも音楽が語ってしまってましたね。
Posted by: Sonnenfleck | 2008.01.30 at 11:06 PM
はじめまして!TBありがとうございました。
大ハ長調の前半はやっぱり戻っていたのですね。やっとウラが取れてうれしいです(笑)。
ブロムシュテット、FMで今回のブル4もチェックしておきたかったですね...うちにはBSが入らないので、結局定期の録画中継もチェックできず困っております。
ブロムシュテット、ゲヴァントハウスとのブル7,ブル8を今度聴いてみたいと思っているところです。今後ともよろしくお願いします。
Posted by: 蔵吉 | 2008.01.31 at 12:12 AM
>Sonnenfleckさま
こちらこそTB&コメントありがとうございました。自分の書いたものを読み返してみると、悪いところばかりあげつらってしまっているかなぁ、とも思いました。全体としては「こうでなければ」という部分もたくさんあったんですが、それはあまり書いていないですね。
まあ、人の感じ方はそれぞれですし、演奏の出来不出来は日によって違いますし、それに何より、同じ演奏でもこちらの体調などでも違ってきますからね。あの日の私は、もっと安らかなものを求めてしまったのかもしれません(特にグレート)。
ではでは。
Posted by: 亭主 | 2008.02.01 at 07:52 AM
>蔵吉さま
はじめまして。こちらこそありがとうございました。
ゲヴァントハウスとの7番8番、特に7番のアダージョは素晴らしいですよ。ぜひぜひ。
Posted by: 亭主 | 2008.02.01 at 07:53 AM