歌曲王
iioさんが「好きな歌曲アンケート」では決まって「冬の旅」が1位、ということを書いていらっしゃいます。名曲ではあるけれど、あんなに暗い曲なのに何で皆好きなのか、と。
iioさんは、日本人は暗いものが好きなのかと述べた上で、詩と孤独の関係を示唆していますが、ワタクシは、それって、「歌曲だから」なんだと思います。
少なくとも日本では、歌曲っていうと真っ先に頭に浮かぶのはドイツリート、特にシューベルトからヴォルフという人が多いと思います。もちろん、フォーレなどの名前だって0.03秒遅れくらいではやってくるけれど、やっぱり、まずそれっていう人はやはり少ないのでは。
で、歌曲とは挫折とか苦悩とか死とか、そういうものを表現するジャンルなのだ、という固定観念が、そのドイツリート攻勢によって聞く側に生まれてしまっているのではないか、と思うのです。歌曲好きは暗い、なんてことは言いませんが、歌曲にそういうものを求めているのでは、と。そうなると、その方向で一番満足を与えてくれるのはやっぱり「冬の旅」なので、それが一番好きという回答になるのではないでしょうか。
では、なぜ「歌曲というとドイツリート」なのか。
それは、あれですよ、あの「音楽の父」問題。3年前に書いたときには思い出さなかったけれど、シューベルトには「歌曲王」という称号があったのでした。「歌曲王」とか「歌曲の王」でググってみるよろし。それ(音楽室の「大作曲家」肖像称号付き)を見て育ったワタクシたちは、歌曲→シューベルト→ドイツリート→暗い、とすっかりすり込まれているのではないか、と。なかなか怖いものがありますね。
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