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2009.04.20

オーマンディのブルックナー

中古屋でオーマンディのブルックナーの7番が転がっているのを拾ってきました。最晩年に「たいがいの曲はやり尽くしたがこれからやりたいのはブルックナー」とインタビューで答えたということが帯に書いてありました。これって、「オーマンディのブルックナー!?何じゃそりゃぁ」という聞き手(というかCDの買い手)の反応を見越しての宣伝文句(?)なんでしょうけれど、逆に言えば、それまではやっぱりオーマンディはあまりブルックナーを手がけていなかったのね、ってことになりはしまいかと心配します。
でも、この録音って1968年ですから、亡くなる17年前。そのインタビューから見るとだいぶ前のことではあるな、と思ったりもするのですが。。ソニーに残っている4番と5番の録音も60年代だったと思います。さらにいえば、オーマンディがミネアポリス響と同じ7番を録音したのは、1935年のこと。
オーマンディはブルックナーもキャリアの初期の頃からレパートリーだった(彼の広大なレパートリーを考えれば当然ですが)けれど、少なくとも録音する機会はあまりなかったということでしょう。

演奏は、なかなか気に入りました。テンポは速め(この曲とハイドン変奏曲がCD1枚に入っている!)ですが、それにもかかわらずちゃんと歌い、鳴っているので、せかせかした感じは受けません。歌い方は変にいじくり回したりせず素直で設計も確かです。第2楽章では、ラフマニノフじゃないだろう、と突っ込みたくなるような身振りも一瞬見せてしまいますが。
響きは豊かではあっても厚塗りという感じではなく、カトリック寺院の大伽藍を思わせるようなブルックナーの音響を満喫できます。また、弦の美しさ(特に第1楽章)は特筆ものです。

と、こう書いてくると、この演奏を「きれいなだけで精神性がない」と批判的に推測されてしまいそうです。が、美しさというのにも色々あって、音そのものは磨き抜かれたような「美音」でなくても美しいということはあるし、その逆だってあるでしょう。確かに「美音」とか大きな音、強い音みたいなものを目的にしているんじゃないか、これは如何なものかと思わせる演奏もあるとは思います。そして、結構そういう演奏がレコードのセールスも良かったりしてきたというのも事実です。でも、だからといって「きれいだと駄目」とされるとすれば、それはおかしなことです。

ワタクシも、このオーマンディの演奏を一から十まで褒め称えるというわけではなくて、たとえば、金管はもう少しくすんでいる方がこの曲にマッチしていると思うし、第2楽章では孤独感、寂寥感をもっと感じたいとは思います。しかし、このとびきり美しくてうまいオーケストラ、大変に豊かな歌、立派な響きでブルックナーを堪能するのは、掛け値なしに大きな喜びです。もう21世紀にも入ってオーマンディへの変な偏見というのも薄いかもしれませんが、もしもそのせいでこの演奏に触れずにいるとしたら、いかにももったいない話です。

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