愛の悲しみ(クレーメル/アルヘリッチ)
このCD、ベルリンで行われたアルヘリッチとクレーメルのリサイタルの記録なのですが、ワタクシにとってはダントツにアンコールの「愛の悲しみ」のCDなのです。2006年12月、この2人はヨーロッパツアーをしていたらしく、同じ(たぶん)曲目で、パリでの演奏会を聞いております。そのときも、鳥肌モノだったのが、アンコールのクライスラー。特に「愛の悲しみ」。
ちなみにアンコール1曲目はパリでは実はラテン系の音楽だったのですが、ベルリンではしなかったのか、それともCD化に当たりカットされたのか。最初はピアソラかと思ったのですが、なんか違う気が。
それはともかく。この「愛の悲しみ」は、これだけのためにこの2枚組のCDを買っても惜しくない、と思います。もう、口では言えません。聞いてもらうしか。
クレーメルのこの曲は、ロッケンハウスのアンコールを集めたCD(PHILIPS)とマイセンベルクとのスタジオ録音のDG盤が残っています。後者は、一言で言えば、ライヴの2種類の演奏には遠く及びません。共演者とのコミュニケーションから来るインスピレーションがなかったのか、スタジオ録音がいけなかったのか、それはワタクシには分かりません。PHILIPS盤は多分廃盤で、ワタクシはオークションで入手しましたが、店頭には今は見かけません。DGはそのトラックだけサイトから1.29ユーロ払ってDLできますが、2種類のライヴを聴いてしまうと、正直言って、この演奏をわざわざ聞く必要は(クレーメルの変遷とかについて論文でも書かない限り)ないのではないかと思われます。
で、これはもうとにかく別物。
PHILIPS盤もピアノはアルヘリッチで、ライヴだし、このベルリンライヴと甲乙付けがたい感じではあります。が、20年(推定)の歳月は、音楽を熟成させます。出だしの枯れたような音色はよくできた赤ワインの長い年月を経た先の枯淡の味わいを思わせます。
聴くべし。
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