憂愁の道は四つ(ダニエル・ブレル/ル・ポエム・アルモニーク)
アルファ・レーベルから出ているル・ポエム・アルモニークのCDです。といっても古楽ではなくって(と言って良いものかどうかもよく分からないのですが)、ダニエル・ブレルというバンドネオンの音楽家(現存)の曲を、グループだけで、あるいはブレル氏も交えて、中にはブレル氏のソロもありますが、演奏したものです。
タイトルが「憂愁の道は四つ(Quatre chemins de melancolie)」というところからして既にそそりますが、基本的に夜の音楽です。そしてあまり多くの聴衆に向かって演奏するようなものではないです。一人で部屋の電気を消したりしてウィスキーを生でちびちびやりながら聴くイメージと言ったらいいでしょうか。
正直言って全16曲の中には酔っぱらいの繰り言みたいにぶつぶつ訳の分からないことを言っているような曲もあります。唐突な例えですが、ブルックナー嫌いの人の「なんだか同じようなことを繰り返していて、突然それが止まったと思うと全然別のものが唐突に始まる。ついていけない」という批判も少しは理解できるかなぁ、と思ったりもしました。
むろん、全体としてみれば、もちろんそんな曲ばかりではないわけで、体をなしているものも沢山あります(←なんて失礼な言い方でしょう!)。そして、全体として追想というか懐旧の情を起こさせるような点では共通している曲たちです。
聴くべし、なんて進め方はちょっとできかねるのですが、まあ、こちらで試し聞きをされたらいかがでしょうか。
ワタクシは、最近カズオ・イシグロの「夜想曲集」を読んだので、より、こういう感じの音楽にスッと入れたのかもしれません。
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