« ファビオ・ルイージ、ドレスデンからチューリッヒへ(2012) | Main | THE SONY OPERA HOUSE 第2弾 »

2009.07.22

若杉弘、亡くなる

朝刊を開いて、驚きました。74歳、多臓器不全とのこと。

日本のオペラ界、新しい音楽の紹介などについて、大きな貢献をしたことは疑いありません。

初演魔と呼ばれた読響時代は知らないのですが、都響の監督としてマーラー、ワーグナー、ブルックナーなど様々なチクルスを打ち出して、それは時に大曲主義とか言われて、オケの基礎のトレーニングが進んでいるのかとか、指揮自体については譜面から顔が上がらないではないかとか、色々な批判も浴びていましたが、でも、ワタクシはそれでも「若杉派」でした。

プロデュースに非常に長けた人でした。ブルックナーとメシアンを組み合わせたシリーズとか、N響定期で「交響曲6番」ばかりでプログラムを組んで見せたりとか、プログラミングに意趣を凝らして。もともとプロの音楽家としての教育を受けて育ったわけではなくて、文学青年(?)が芸術青年になって音楽家になったような(正確ではないかもしれません、ワタクシの印象です)ところがあって、それが反映された活動はたまらなく魅力だったのですよねぇ。

秋にミュンヘンオペラが来日する年の春の都響定期で、「予習」と称してまだまだなじみの薄かった「アラベラ」の抜粋をやったりとか、面白かったなぁ。

だから、新国立劇場の監督という仕事は本当に彼の才能が発揮できる場所であったと思うし、実際、日本のオペラの資産を掘り起こし次代に伝えていく仕事、様々なお客の入らなさそうなしかし重要な作品を取り上げる姿勢は、このハウスの進むべき方向を明確に示していました。どのみち任期は次のシーズン一杯ではあったのですが、彼を失うことは非常に大きな損失です。

ご冥福をお祈りします。「ヴォツェック」はちゃんと聴きに行こうと思います。

|

« ファビオ・ルイージ、ドレスデンからチューリッヒへ(2012) | Main | THE SONY OPERA HOUSE 第2弾 »

音楽」カテゴリの記事

Comments

疑いって…なんだろう…?

Posted by: BlogPetのpiong | 2009.07.29 at 02:03 PM

yokochanさん
コメントありがとうございます。

本当に同感です。多分氏を初めて聴いたのはもう30年以上前の二期会「こうもり」。中学生の私が何を感じたかも覚えてはいないのですが、やっぱりオペラだったんだ、と改めて思いました。

日本にオペラを根付かせたいという思いは、必ずしも舞台公演でなくてもコンサート形式で様々な曲をされたり、オーケストラの定期プログラムに曲を潜り込ませたり、と、色々工夫を凝らして、私たちに色々なことを紹介していくれました。

新国立劇場ができて、まあ、二期会→藤原という人事のあと、満を持しての登板という感じだったのに、志半ばにして亡くなられたことはとても残念です。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2009.07.24 at 08:34 AM

こんばんは。
私も若杉派でした。
それもオペラを通して。
おっしゃるように、その知的ともいえるプログラミングは、いつも心くすぐる刺戟的なものでした。
ワーグナーとシュトラウスの舞台を真近にしてくれたのも若杉さんでした。
前任者と明らかに違う個性が出だしたのが今シーズン。来シーズンはまさに若杉ワールドの新国。
毎回会場が埋まるようになったのも、聴衆がオペラを心から楽しみだした証しでしょうね。
尾高さんは責任重大です。

私も氏を偲んで、ヴォツェックはしっかり観劇しようと思ってます。

Posted by: yokochan | 2009.07.23 at 10:28 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10092/45705883

Listed below are links to weblogs that reference 若杉弘、亡くなる:

» 悼話§若杉弘さん(指揮者) [ひだまりのお話]
つい今しがた訃報に接したところである。 [Read More]

Tracked on 2009.07.22 at 09:18 PM

» 若杉弘さんの訃報 [ボヘミアンな京都住まい]
解散総選挙と皆既日食のニュースで溢れかえってる中で、気づくのがちょっと遅かった若杉さんの訃報・・・ただただビックリ。 実演では3年前の大フィル定期でドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』を聴いたことがあるだけでした。演奏会形式、カットも所々あって、オケも観客もほとんど慣れてない中で孤軍奮闘といった印象しか残っていません。... [Read More]

Tracked on 2009.07.23 at 01:37 AM

» 若杉弘追悼企画 マーラー作曲、交響曲第1番「巨人」 [yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真]
 若杉弘さんが亡くなられたそうです。大変にショックであります。  なぜか非常に悔しく悲しくあります。  いろいろな思い出があり、そしてメシアンもウェーベルンもベルクもシェーンベルクも、コクトーもミヨーもオーリックもオネゲルも柴田もその他いろいろステージ上から客席の私にいろいろ教えてくれた人でした。へんてこりんな現代音楽を私に実際に聴かせたのも彼でした。そう言った意味では好奇心旺盛な私にはいつも私を挑発するような楽しみなプログラミングをする人でした。私は彼が音楽監督だから都響の定期会員になったので... [Read More]

Tracked on 2009.07.24 at 12:43 PM

» 日蝕の日/若杉弘氏の訃報 [庭は夏の日ざかり]
+ + + 指揮者・若杉弘さん死去 新国立劇場芸術監督(asahi.com/7月21日) どうしてなのかわからないですが、若杉氏とはほとんどご縁がなくて、結局新国立劇場の《軍人たち》が最初で最後の接点になりました。追悼公演になってしまう《ヴォツェック》や《影のない女》を、しっかり受け止めようと思います。合掌。 ... [Read More]

Tracked on 2009.07.24 at 11:58 PM

« ファビオ・ルイージ、ドレスデンからチューリッヒへ(2012) | Main | THE SONY OPERA HOUSE 第2弾 »