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2009.10.05

びわ湖の「ルル」

「ルル」を観にびわ湖ホールまで行って参りました。行って良かったです。ええと、どんな公演だったかの情報については、さまよえるクラオタ人さんに詳しいので、すみません、省略させてください。

「オペラ」に接する機会が増えている我が国ですが、「ルル」となると(曲の素晴らしさ&重要性に比して)まだまだ多くはありません。まあ、曲がそりゃぁ「トスカ」とか「アイーダ」ほどとっつきにくいせいはあって、それは詮方ないことではあるのですが。

だから、この「ルル」の上演は、まずはすごく意味のあることだと思うのです。東京以外での初演ですよね、違うかな。

そして、上演のクォリティも、「とにかくやりました、努力賞」なんてものでは全然なくて(このくだりって関係者が読んだら怒るだろうなぁ、すみません。でも、揶揄しているつもりではないんです、もちろん)、ワタクシは満足しました。

まず、ルルの飯田みち代、これはとても良かったです。よく、ヴィオレッタ(椿姫)が第1幕と2,3幕とで違う声質(&歌唱法)を要求されるから難しいと言われます。でも、ルルはそんなものではなくて理想的に言えば、声質も歌唱法も表現も、すごく多様なものを要求されています。すべてを満たすなんて悪魔のような人はいないのでしょうから、いきおい、力点はどこに、って話になるわけですが、彼女は、無垢な少女としてのルルにウェイトがかかっていて、それが良かったんですよねぇ。もっとも、これは観客(少なくともワタクシ)にはそう届いたということで、上演者側がどう意図していたかとは当然ずれがあるかもしれないのですが。

というのは、ここで言ってしまうと、音があまり客席に来なかったように思うのですよねぇ、この上演。それはさすがにわざわざ意図したわけではないでしょうけれども。

で、その前提で言えば、ワタクシには、今回のルルは魔性の女と言うよりは、純愛ゆえに悲劇の核となる存在として(そしてそのコンセプトは違和感もなかったし)、素晴らしい出来だったと思います。1幕で画家のモデルになっているところなんてゾクゾクしたもの。
あとはゲシュヴィッツ伯爵令嬢の小山由美、よかったです。こちらは役柄的に決め打ちすることも可能という面があるわけですが、でも高い説得力がありました。男声陣ではアルヴァの高橋淳と画家の経種廉彦がそれぞれに求められるものを十全に表現していました。

オーケストラ、悪くなかったです。ただ、間奏曲などになると途端に聞こえ出して良い音楽が聞こえてきたというのは、やはり、歌と一緒にやっているときには音量を抑えていたっていうことなのでしょうか(不明)。そういうところでの木管の絡みとかもっと聞こえてくればもっと面白かっただろうに。

演出は、ワタクシは好きです。この作品そのものが「観客=見る人」&「演者=芝居をやっている人」という二分化を許さない面があると思いますが、思い切り照明器具を下げ、舞台装置による切り取られた空間を作らず、おまけに指揮者のモニターをいくつも観劇者に見せようというつくりは、「共犯者になりましょう」というメッセージであったと思います(予算が云々ということを殊更に言うのは、新バイロイト様式の成立理由をそこに求めすぎる態度と同じでしょう)。20世紀のオペラをやるんだったら、コレがないとねぇ。
ただし、舞台上で発せられた音が客席に届くという装置の機能(反響とか)を、この日の舞台は放棄してしまっていたために、声がなかなか前に来なかった、というデメリットを産んでしまったと思います。それに伴ってオケの音もバランス上抑えざるを得なかったのではないでしょうか。これが「惜しむらくは」という点になってしまったと思います。

まあ、ワタクシは音響効果最劣悪のバスティーユ(笑)で鍛えてきたので、それによって公演の価値は別に減じられることはなかったのですが。

さて、この公演を取り巻く形で、クァルテット・エクセルシオの抒情組曲などの演奏会があったし、総合的な盛り上げがありました(やくぺん先生のところで言及されています)。そして、それは「びわ湖大津 秋の音楽祭」という形で、「ルル」もベルクも超えた広がりとなっています。音楽祭とは銘打っていますが、広い意味での文化祭です、コレは。良いですよねぇ、こういう面的な取り組みは。

最後に。だからこそ、この公演が1回だけというのはもったいないなぁ、と本当に思います。でも、しょうがないのかな。ちなみに当日は満席に近いように見えましたが、2回となると分かりませんからね。


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Comments

きのうは芝居したいなぁ。
それで言及する?

Posted by: BlogPetのpiong | 2009.10.06 at 03:40 PM

コメント&TBありがとうございます。
私は1階後方(というか位置づけとしては2階正面2列目)でした。前の方だと確かに違ったかもしれません。
来春の「ボエーム」は横浜でもやるのですよね。しかし、本当はこの「ルル」こそ神奈川との共同になればいいのにと思ってしまいますよね、たしかに。

Posted by: ガーター亭亭主 | 2009.10.06 at 06:58 AM

こんばんは。
初生「ルル」でしたが、全般に好印象でした。
演じ手のキャラクターによるところもありましたが、ルルはとても可愛い女性に思ってしまいました。
足で返事をするところなんて、どこかの嫁があれやったら、もう家に帰りたくなくなります(笑)

私は前の方で観劇しましたが、音の問題は差ほど気になりませんでした。
このあたりは難しいものですね。

そして、このプロダクションも、今後、横浜でも上演できるようにしてもらいたいと思いました。

Posted by: yokochan | 2009.10.06 at 12:53 AM

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