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2009.12.25

プレートル先生への期待など

さて、2010年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートですが、言わずとしれた巨匠プレートル先生の登場です。2年前にも期待感想などをここに書きましたが、今回の期待はやはり、「こうもり」序曲に集まります。先生の「こうもり」序曲は合奏能力が「並み」のオーケストラだと崩壊必至の大きなテンポの変化が特長ですが、その時としてあられもない歌い口は、一つ間違うとちょっとつきあいきれない際物となってしまう危険があります。それがウィーンフィルだとワンクッション受け止めるようなところが出てくるせいもあり、もちろん、テンポの伸縮にも失われない歌の保持もなされて、えもいわれぬものとなるんじゃないかなぁ、と。
昔このコンビで聞いた「ばらの騎士」組曲がそうでした。プレートルの「ばら」組曲はシュトゥットガルト放響とのライヴ録音
98年、ウィーン楽友協会大ホール!)を店頭でもよく見かけます。これも決して悪い演奏ではありませんが、ウィーンフィルとの演奏は絶美でした。オックスのワルツの旋律が最初に出てくるところのアウフタクトのルバートに度肝を抜かれ、ワルツのめくるめくる絢爛たる盛り上がりに体が熱くなり、3幕のマルシャリンが身を引く辺りの音楽には涙させられ、と。それはそれは良いものでした。
プレートル/ウィーンフィルの「ばら」組曲は、そのときの演奏ではありませんが、2008年のシェーンブルン宮殿サマーナイトコンサートのCD(野外なので録音が今ひとつなのが残念)で片鱗を楽しむことが可能です。このCDについては、前にも書きました
このCDはHMVやタワーのサイトを見ても出てきませんが、ウィーンフィルの直営ウェブショップで購入可能です。
そういえば、このウェブショップでは、今度のニューイヤーコンサートのCDを1月7日にリリースするそうです。が、送料込みで28.80ユーロなんて値段では、もちろん注文したりはしません。結局ヨーロッパから届くのとHMVでのリリース(20日)と変わらないし。

ところで、プレートルといえば先日、NHK教育テレビで88年にパリ・オペラ座管を率いての来日公演の模様が放映されました。音は当時のエアチェックカセットをディジタル化したもので楽しんでいるのですが、映像は初見でした(あるいは当時観ているのかもしれませんが覚えていません)。この演奏がまたすごいんです。
曲は牧神の午後への前奏曲、ラ・ヴァルス、幻想交響曲、アンコールに「アルルの女」と「カルメン」から1曲ずつ。最近のプレートルは、「音楽への情熱」という側面ばかりが強調されるように思いますが(そして実際近年の演奏は、どんどんそっちに傾斜していますが)、ここに聞くドビュッシーやラヴェルには、音楽の構成をはっきりと出す鳴らし方やクライマックスへの確かな設計を強く感じます。もちろん、部分部分は非常に幽玄であったり蠱惑的であったりするのですが。「幻想」は、たぶんプレートルは曲自体を「怪異なもの」と捉えているんじゃないかと想像します。楽器間の掛け合いで拍を超えた前のめりのツッコミの結果等拍でない部分が何回かあります。ルバートにより音楽はデフォルメされます。時にオケはついて行けずアンサンブルが乱れます。それとは関係ないかもしれませんが、出損なった鐘に付いていく人と元々の正しい入りではいる人との間で大きなずれが生じます。にもかかわらず(だからこそ?)、圧倒的なエネルギーの爆発、そしてカタルシス。なんか音楽を聴く喜びを感じるんですよねぇ。
 最近、NHKの「思い出の名演奏」系は映像として商品化されるものも多いですが、これもぜひ、と思わずにはいられません。

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