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2010.01.15

ブレンデルのフェアウェル・コンサート

Rimg0003ブレンデルの引退前の最後の演奏会を2枚のCDに収めたものを聞きました。
「最後の」と言ってもちょっと注釈が必要で、ここには2回の演奏会が収録されています。本当に「最後」なのは、協奏曲のソリストとしてウィーンフィルの演奏会に出演したもの。指揮は近年コンビを組んでモーツァルトのCDも出していたサー・チャールズ・マッケラスで、曲はモーツァルトの変ホ長調K.291「ジュノム」。そして、その4日前のハノーファーでのリサイタル。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトときて、アンコールにベートーヴェン、シューベルト、バッハが演奏されています。

ブレンデルは、本を書いたり映像で楽曲解説を行ったりということが、知的な演奏家というイメージを作ったのでしょうが、実際、技巧を見せびらかすようなピアニストではなく(というより、ピアノのテクニック的には物足りないところもなくはなかった)、考え抜かれた演奏をする音楽家でした。

もちろん、この演奏とて、作りとしてそれを大きく覆すようなものではありません。でも、こちらが「フェアウェルだから」と思って聞くせいもあるのですが、とても情感豊かに音楽をしていると感じさせられます。演奏中ずっと、と言っても良いほど聞かれるブレンデルのうなり声も、それを増幅しているのかもしれません。

ブレンデルの演奏の非流麗さは今に始まったことではなく、それはそれぞれの楽句の意味をきちんと伝えたいという意志を反映したものであるように思います。そして、この演奏はそれが頭で考えたものと言うよりは生身の肉体から出てくるような感じを受けました。体から湧いてくるものを表すために、必死で音を紡ぎ出すという行為のような。それは特に一人で聴衆に対峙するソロのリサイタルの方に強く感じられました。でも、最後のバッハには澄み切ったものを感じます。

本当の本当の最後の公開演奏である協奏曲にはもっと和気藹々感があります。

最後にはやはり出発点に戻って、ウィーンで、そしてモーツァルトの若い作品でのフェアウェルというところが、この人らしいです。

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