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2010.01.26

カントロフ/プラーネスのシューマンのヴァイオリン・ソナタ

Rimg0142コロムビアのクレスト・シリーズは2002年のスタート以来、昨年12月の第9弾で全500点というから大したものです。9年もの歳月が流れると、この手の1000円廉価盤って、下手すると3回くらい「不朽の名盤100」とか「永遠のナントカシリーズ」とか名前を変えてシリーズを作って3割くらいは同じ盤を使い回して出し直すなんてことが起こりかねないのですが、クレストは、堂々500タイトルですからね、素晴らしい。
その内容も、大名曲の大名演から、ちょっと、いや、かなりマニアックな選曲・演奏のものまでこれらをカタログに載せ続けているっていうのは(もしかしたら品切れとかあるのかどうか知りませんが)、さすが大コロムビア。

今回の内容も、なんと若杉のワーグナーの交響曲が復活したり、マタチッチ/N響のワーグナー序曲集のセッション録音が出てきたりと、涙を流して喜ばれる方もいるのではないかと思います。
ワタクシが、早速買ってしまったのは、まず、「ブルー・インパルス」。この名曲を含む斎藤高順と矢部政男の作品を本家本元の航空中央音楽隊が演奏したもの。良いです。それから、有田昌弘の2枚。1枚は「偉大なる世紀のフルート音楽」という18世紀フランスの曲集、もう1枚は「パンの笛~フルート、その音楽と楽器の400年の旅」というエリック・エリクソンみたいなアルバムです。これらはまだ聴いておりません。

で(前振りが長いですが)、このシューマンのヴァイオリン・ソナタ。

カントロフのヴァイオリンは細身でざらっとした音で、いわゆる美音というのとは違います。プラーネスのピアノも(録音のせいもあるかもしれませんが)いわば分析的で、細部までよく見えるようなものです。このコンビでのシューマンの演奏は、想像の通り、「ドイツ・ロマン派です」ってものではありません。クールなわけではなく、感情の起伏は激しくもあるのですが、ただ、それが持続しない、というか一つの方向に進み続けないのです。短いスパンで表情が変化し、それは時に音楽が切れ切れになるような印象を与えます。こんなことはしないでヴァイオリンの音楽として美しくまとめているフェラス(それはそれで魅力がある)とはまったく違いますし、同じく激情的ではあっても、豊かにうねるようでそしてもっと持続する安永徹(こういう演奏を聴くとこの人はカラヤン時代を支えた一人だと言うことを強く感じます)とも違います。
このシューマン晩年の曲、特に第1番は、彼の精神的な変調と結びつけて論じられる向きがあります。確かに平穏とは言えない曲です。彼の精神状態と関係はあるでしょう。一昔か二昔前には、これを「創作力の衰え」とかあるいは「極限まで突き詰められた世界」とか評価するのが主流だったような気がします。今では「円熟期の傑作」なんて書いてあるのを見ると、時代も変わったものだと思います。

で、このカントロフの演奏は、そういう基本的には神経質で暗い気分が横溢しながらも、所々明るい光が差す、そして全体としては一言では説明できない複雑な心のありようというか気持ちというか(人間多かれ少なかれそういうものですが)を示すこの曲の趣をよく表していると思います。色々な感情がないまぜになってその色々が明滅しているような。

実はクレーメル・アルヘリッチが本命だろうなぁ、と思いつつも訊いていないワタクシ。

ところで、カニーノがこの曲のピアノを担当した録音ってないんでしょうかね。ブラームスとかでの彼の室内楽のピアノは絶品だと思っているんですが。プラーネスからの連想です。

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