« 6月の歩行記録 | Main | 7月の歩行記録 »

2011.07.24

「パルジファルと不思議な聖杯」@新国立劇場

Parsifal_0234こどものためのオペラ劇場「パルジファルと不思議な聖杯」に行って参りました。

このシリーズ、過去に「ジークフリート」と「トゥーランドット」をやったのは知っていましたが、見に行くのは初めてでしたが、もう、すごく楽しくて、素晴らしいものでした。こどもだけに見せておくのはもったいない。

あらすじとか色々とかは特設サイトがあるんですが、基本の話は本家「パルジファル」をなぞっています。一番大きな変更は、クンドリが出てこないことですが、彼女の光の部分だけを体現したようなマグダレーナという役が創設されています。名前の由来は、皆さんおわかりですよね。また、このマグダレーナは実はモンサルヴァートの王家の血を引く王女が魔法によって白鳥に姿を変えられていたのだった(最後に人間となってよみがえり、パルジファルと結ばれます)という、ワグネリアンにとってはどこかで聞いたような設定であります。
性的な部分はさすがにマイルドにしてあって、でも、花の乙女の場面はお菓子の家となっております。性欲が食欲にかわっているのです。でも、そこに出てくるチョコレート女の太ももなどをパルジファルがなめ回す場面など、おっと良いのか!?感がありましたが。もう一つの「おっといいのか」は、マグダレーナがよみがえる奇跡を起こすための「聖槍と聖杯の合体」(笑)「合体~♫」と叫んで槍で杯を貫くのは、ううむ。ううむ。

聞き所の音楽は一通り全部あります。おまけに、クリングゾルのアジトはニーベルハイムみたいに設定されているので、「ラインの黄金」も一部。1時間半の上演時間ですが、まあ、台詞なんかのお芝居や、途中観客と絡むところなどもあって、音楽は1時間あるかないかくらいでしょうか。でも、パルジファルの素晴らしい音楽を堪能できます。普通は4時間も聞かなくてもこれで十分かも(嘘)。楽隊は10~15人くらいで、もちろんマスの響きはないんですが、でも、パルジファルの素晴らしい音楽を堪能できます。

もう一つのこの公演の肝は「聖杯ダンス」。開演15分前でしょうか、ロビーで子供たちに向けて登場人物(のダンサー)が踊って見せ一緒に踊りの稽古をしていました。
Parsifal_0237


Otaka_2おまけ。ほほえましいこの光景を眺める我が音楽監督氏。
で、この踊りを一緒に踊ろう!コーナーを観たときには、「ああ、こういうのをやっておけば、聞くときに、あ、あの踊りの音楽だ!って入っていけるんだろうな」と思ったのですが、さに非ず。

パルジファルが聖槍を取り返しにクリングゾルのところに赴くとき、白鳥のマグダレーナは「今のあなたではクリングゾルには勝てない」と修行をするように促します。その修行であhこの踊りを踊るのですが、最初パルジファルはまるでやる気がなく、パワーも全然不十分。そこで、マグダレーナは、パルジファルにパワーをみなぎらせるためには会場のみんなの助けが必要だ、と。練習の成果を発揮して子供たちがこの踊りを踊り、パルジファルの踊りも生気に満ちたものになっていきます。
最後のカーテンコールでもみんなでもう一回踊りましょう!と。なかなか楽しい観客参加になっていました。

こんなに楽しいものなのだから、この3日間、わずか5回の公開公演はいかにももったいないと思ったんですが、高松(7/31)と神戸(8/6)での巡演があるそうです。でも、それだけじゃなくて、もっといろんなところでやると良いのになぁ、と心から思います。

で、今年見逃したあなたのために、再演はあるのかいな、と思ったところ、過去の記録によれば、第1作の「ジークフリートの冒険~指環をとりもどせ!」は2004,05,08,09と4シーズンもやっているし、第2作「スペース・トゥーランドット」も2006,07と上演されています。「ジークフリート」に至っては、ウィーンチューリッヒにも進出して、08,09年の初台での上演はこの「ウィーン改訂版」!によっているそうです。
なので、このパルジファルもきっと再演されるのではないかと、期待大です。

また、来年のこの企画では何が取り上げられるのか、本当に楽しみです。
繰り返しになりますが、こどもにとってはそれ自体も楽しく観られるものですし、楽しみながらオペラ(それもワーグナー)への第一歩を(幸か不幸か(笑))踏み出してしまいすことができ、というこの催し、もっともっと全国の各地で上演されたら良いな、と思います。そして大人も楽しめます。保証します。

そうそう、開演前には、こんなのもあって、なかなか本格的。
Parsifal_0239

« 6月の歩行記録 | Main | 7月の歩行記録 »

音楽」カテゴリの記事

Comments

そう、これからは子供企画にも堂々と大人だけで行く力が必要とされるのです!

我が家の子供達は親に付き合わされ、ジークフリートの冒険もスペース・トゥーランドットも観ておりますが、今年は付き合ってくれませんでした。そういうもんなんですな(^_^;

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「パルジファルと不思議な聖杯」@新国立劇場:

« 6月の歩行記録 | Main | 7月の歩行記録 »

Welcome to "Osteria della Giarrettiera Annex"

  • Musician's Street
  • vach'art
  • Xmas in Paris
    Thank you very much for coming to my blog despite all entries in Japanese. But you can find photos in three categories above. Please click them if you like.