鈴木クワルテットの遺産/クワルテットハウス・ジャパン
このCD、昨年の暮れに出ていたらしいのですが気が付かず、つい最近入手しました。
鈴木鎮一といえば、スズキ・メソードということで教育者としてのイメージが強いのですが、このように兄弟での四重奏活動もされていたのですねぇ。不明を恥じる次第です。
1935~38頃にSP録音されたものを集めており、ハイドンのセレナード、モーツァルトのメヌエット、シューベルトのセレナード、ドリゴのセレナード、アンダンテ・カンタービレ、旅愁、故郷の廃家、オールド・ブラック・ジョー、深い川、宵待草、仰げば尊し、「源氏物語組曲」という、泰西名曲、文部省唱歌、黒人霊歌、大正ロマンなどからなるラインナップには時代の空気を感じます。
演奏は駘蕩たる趣をたたえた味わい深い(曲もそうしたものばかり)ですが、記録としても貴重です。「源氏物語組曲」はチェロの鈴木二三男の作曲ですが、ここでは与謝野晶子の源氏物語冒頭部の朗読を聞くこともできます。この二三男氏、この盤に収録された曲の編曲も手がけていて、シューベルトとドリゴでは他の曲も組み合わせて一曲としているのがなかなか珍品といっても良いかと思います。
ところで、このCD、クワルテット・ハウス・ジャパンという会社から出ているのですが、実はここの社長さんには昔大変大変お世話になりました。ワタクシは、社長さんが当時勤めていらっしゃったレコード屋のクラシック売り場に毎日のように入り浸っておりました。レコード屋ですから、レコードを店頭で流しているわけですが、次はこれをかけて欲しいなどとお願いして次々に試聴させてもらい、音楽や演奏家について色々なことも教えて頂きました。
10年近く前になるでしょうか、独立されて第一弾として出したCDは、カザルスがボンのベートーヴェンハウスを訪問した時の実況録音なんですが、そこに含まれているバッハの無伴奏(55年録音)は新たにアルヒーフから発見されたもので、非常に貴重なものでした。その後、どういうCDを出されたのか分からないのですが、この鈴木クワルテットの番号がQHJ-1003となっているところをみると、これがカザルス(QHJ-1001ではありません)に続くものというわけではないでしょうが、それよりも今後の予定です。
こうやって調べると巌本真理弦楽四重奏団のものがでるとのことです。69,74,76年の所沢、東京、相模原でのライブによるハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ラヴェル、シュミットなどということしか分からないのですが。。。坪田昭三(p)と書いてあるところをみると、シュミットっていうのはフランツ・シュミットのピアノ五重奏曲なのかなぁと思ったりしますが。
いずれにしても、5月の発売ですから、あと少し。とても楽しみです。
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